ファイナンス 2020年7月号 No.656
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1はじめに石垣税関支署は、沖縄県先島地区(八重山地域、宮古地域)を管轄する税関官署ですが、1886年(明治19年)西表島から採掘される石炭の輸出手続きを処理する目的で設置された長崎税関内離(うちばなり)出張所が始まりです。同出張所は沖縄県における税関の起源でもありますが、1889年(明治22年)に廃止され、別途1899年(明治32年)に石垣島に長崎税関八重山監視署(後に八重山出張所)が設置され(注1)終戦を迎えました。終戦後、アメリカ統治下の先島地区における税関は、琉球政府の下に琉球税関八重山支署が設置され、沖縄が本土復帰した1972年(昭和47年)に沖縄地区税関石垣出張所(注2)、1994年(平成6年)に石垣税関支署へ昇格し、現在に至ります。所在地は沖縄県石垣市で、管轄地区は石垣市、宮古島市、八重山郡(竹富町、与那国町)及び宮古島郡(多良間村)です。(注1)第二次世界大戦前は長崎税関が管轄。(注2)終戦後は沖縄の本土復帰までの間、琉球政府の下に設置された琉球税関が管轄。2石垣税関支署管内の動向について石垣島は平成9年より台湾からのクルーズ船が寄港を開始し、以後、一時中断はあるものの継続して運航されています。特に近年の寄港回数の伸びは著しく、平成25年の入港隻数は62隻であったが、令和元年は147隻と約2.4倍に増加しており、自然豊かな石垣(八重山諸島)はクルーズ船の寄港地として人気があります。また、平成25年に移転・開港した新石垣空港は、滑走路が移転前の1,500mから2,000mへ伸長され、国内線及び国際線の旅客ターミナル施設が整備拡充されたことに伴い、中型ジェット機やLCCの就航による大幅な利便性の向上を受け、島民の移動や観光客やビジネス客が激増しています。平成29年4月1日には全国で31番目の税関空港に指定されました。このため、外国人観光客数も増加しており、八重山地域における外国人観光客数は、平成25年は89.8万人であったが、令和元年は240.3万人の約2.6倍と急激に伸びております。また、管内の宮古島郡の下地島では、平成31年3月に南国情緒あふれる下地島空港が供用開始され、同年7月には初の国際線として香港便が就航しました。また、宮古島の平良(ひらら)港においては、クルーズ船ターミナルビルの建設が進んでおり、宮古島地域においても観光客はますます増加することが予想されます。石垣税関支署と 魅力ある八重山諸島沖縄地区税関石垣税関支署統括監視官(総括部門)國吉 直樹八重山76 ファイナンス 2020 Jul.連載各地の話題

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