ファイナンス 2020年7月号 No.656
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日本公庫と政投銀が 1月末に相談窓口を設置新型コロナウイルス感染症の拡大における政策金融の取組みは1月末から始まっている。1月29日には日本公庫が、1月30日には日本政策投資銀行(政投銀)が経営相談窓口を設置した。その後、2月13日には政府が緊急対応策を決定・公表し、中小企業等の資金繰り支援として、日本公庫等に緊急貸付・保証枠5,000億円を確保、3月10日には緊急対応策第二弾として、さらなる資金繰り支援の拡充措置を行った。その中でも特徴的なのは日本公庫が中小企業・小規模事業者向けに創設した「新型コロナウイルス感染症特別貸付」だ。新型コロナウイルス感染症特別貸付を利用できるのは、新型コロナウイルス感染症の影響を受け、一時的に業況が悪化している事業者で次の(1)または(2)のいずれかに該当し、かつ中長期的に業況が回復し、発展することが見込まれる場合。(1)最近1カ月の売上高が前年または前々年の同期と比較して5%以上減少している。(2)業歴3カ月以上1年1カ月未満の場合等は、最近1カ月の売上高が次のいずれかと比較して5%以上減少している場合。(A)過去3カ月(最近1ヵ月を含む)の平均売上高、(B)令和元年12月の売上高、(C)令和元年10月から12月の平均売上高。融資限度額は国民生活事業(国民事業)が8,000万円で中小企業事業(中小事業)が6億円。すでに日本公庫から融資を受けている場合でも別枠で利用可能。また、返済期間は設備資金が20年以内、運転資金が15年以内で元本据置期間はいずれも最大5年と、通常の融資よりも長く設定されている。図表3●新型コロナウイルス感染症に関する政策金融での取組み1月29日日本政策金融公庫が「新型コロナウイルスに関する経営相談窓口」を設置1月30日日本政策投資銀行が「新型コロナウイルス感染症の影響に関する経営相談窓口」を設置2月13日政府が緊急対応策を決定・公表●中小企業等の資金繰り支援として、日本政策金融公庫等に緊急貸付・保証枠5,000億円を確保●特別相談窓口を開設し、資金繰り支援の必要がある場合、売上高の減少等の程度に関わらず、セーフティネット貸付の対象とするよう、要件を緩和3月6日麻生財務大臣兼金融担当大臣談話発出●休日の相談受付を含む緊急相談窓口等を通じて、きめ細かく実態把握を行い、適切かつ迅速に事業者の資金繰り支援に取り組むこと●既往債務について、事業者の状況を丁寧にフォローアップしつつ、元本・金利を含めた返済猶予等の条件変更について、迅速かつ柔軟に対応すること 等3月10日政府が緊急対応策第2弾を決定・公表●日本政策金融公庫等において、新型コロナウイルス感染症特別貸付制度を創設●売上高が急減している中小・小規模事業者については、利子補給により、実質的に無利子化●日本政策投資銀行等による危機対応業務を実施し、中堅・大企業の資金繰りに万全を期す3月16日麻生財務大臣兼金融担当大臣が、官民の金融機関と面会し、資金繰りについての要請を実施●対日本政策金融公庫:融資相談にスピード感をもって対応するよう、要請●対日本政策投資銀行:危機対応業務により、中堅企業等の資金繰りに万全を期すよう、要請4月8日安倍総理が、官民の金融機関と面会し、資金繰りについての要請を実施●支援策の積極的な活用、貸付条件の変更に係る迅速かつ柔軟な対応、迅速な融資実行 等4月20日政府が緊急経済対策を決定・公表●民間金融機関による融資についても実質無利子・無担保とすることができる制度の創設●日本政策金融公庫等の特別貸付制度等の融資枠拡充●日本政策金融公庫等や保証付き民間融資の既往債務の借り換えを可能とする 等6月12日令和2年度第2次補正予算成立●日本政策金融公庫等の特別貸付制度等の融資枠拡充●日本政策投資銀行等の危機対応融資の融資枠拡充●日本政策投資銀行・商工中金(中堅・大企業向け)、日本公庫等・商工中金(中小・小規模向け)の資本性劣後ローンの創設日本公庫が特別貸付を創設。当初3年間の実質無利子化も実施へ20年1月末から新型コロナウイルス感染症に対応4 ファイナンス 2020 Jul.

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