ファイナンス 2020年7月号 No.656
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コラム 経済トレンド73前大臣官房総合政策課 調査員 関 祥吾/村田 亮外国人労働者の動向と共生施策のあり方本稿では、日本における外国人労働者の動向と共生施策のあり方について考察した。外国人労働者数増加の経緯・1990年代以降、研修・技能実習制度の発足、日系人を対象とした身分に基づく在留資格「定住者」の創設や留学生増加に向けた様々な施策が実施されたこともあり、外国人は2008年のリーマンショックによる景気後退期まで増加傾向が続いた(図表1)。・2010年代に入り、景気回復や人手不足等を背景に、外国人労働者数は急速に増加してきた。在留資格別にみると、技能実習や留学、高度人材等が増えている(図表2、3)。図表1 在留外国人の推移50100150200250929496982000020406081012141618(年)(注)2012年以降は在留外国人統計、2011年以前は登録外国人統計30001980(万人)図表2  外国人労働者数と就業者全体に 占める割合20111213141516171819(%)不明身分に基づく在留資格資格外活動技能実習特定活動専門的・技術的分野の在留資格就業者比率(右軸)50100150(年)2004.03.02.01.00.00(万人)図表3 在留資格について身分に基づく在留資格定住者、永住者、日本人の配偶者 等資格外活動外国人留学生によるアルバイト 等技能実習外国人技能実習生特定活動ワーキングホリデー 等専門的・技術的分野の在留資格医師、弁護士、通訳、デザイナー 等外国人労働者が欠かせない存在に・外国人労働者の就労先をみると、約3割は製造業で、単純労働の従事者が多いとみられ、次に多いサービス業(他に分類されないもの)には、製造業を含む派遣労働者が多く含まれると考えられる。そのほか、卸売業・小売業や宿泊業・飲食サービス業での従事者が多い(図表4)。・業種別に、近年の全ての就業者数の増減と、外国人労働者の増減を比較すると、農業・林業や卸売業・小売業、製造業等では、外国人の増加が就業者数変化の大きな割合を占めており、これらの業種では、短期滞在の技能実習生や留学生といった外国人労働者が欠かせない状況となっている(図表5)。・また、外国人労働者のうち約35%が30人未満の事業所で就労し、中小・零細企業の人材確保の大きな助けとなっている(図表6)。図表4  在留資格別・産業別外国人労働者(2019年)1020304050建設業製造業情報通信業卸売業、小売業宿泊業、飲食サービス業教育、学習支援業医療、福祉サービス業(他に分類されないもの)その他060(万人)不明身分に基づく在留資格資格外活動技能実習特定活動専門的・技術的分野の在留資格図表5  産業別就業者数と外国人労働の 伸び(2012-2019年)教育、学習支援業農業、林業建設業製造業情報通信業運輸業、郵便業卸売業、小売業宿泊業、飲食サービス業医療、福祉0306090120▲30150(2012→2019年差、万人)外国人労働者就業者図表6  事業所規模別外国人労働者数 構成比(2019年、%)35.418.522.619.34.130人未満30~99人500人以上不明100~499人60 ファイナンス 2020 Jul.連載経済 トレンド

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