ファイナンス 2020年7月号 No.656
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実は麻婆麺も麻婆豆腐のラーメンは、昭和40年代、新潟市の中華料理店で誕生したというのが有力です。麻婆麺を売りにしているお店もいくつかあるのですが、昔からの人気店は、新潟市江南区の「ラーメン工房 まるしん」かと思います。とろっとした餡に、たっぷりの絹ごし豆腐、山椒もしっかりかかって、親しみやすい味に本格的な辛さがあります。今は、人気ありすぎてランチ営業のみになっています。寒い地域というのに加え、新潟は枝豆の作付面積が日本一であるなど、豆腐の原料である豆好きな県であるところも背景にあるのではと勝手に思っています。写真2 まるしんの麻婆麺かけそばならぬかけ中かインパクトを感じたのは、上越市のソウルフードの一つとも呼ばれる「塚田そば店」のかけ中か。かけそば、かけうどんのスープや具はそのままに、麺がやわらかめの中華麺なんです。240円と値段は立ち食い蕎麦級。香川の讃岐うどん店的な地域に溶け込んだお店という空気が流れています。お隣妙高には、とん汁ラーメン(「とん汁の店たちばな」)もあります。「食堂ミサ」の味噌ラーメンは、ニンニクもほどよく入って食欲をそそる味で、妙高訪問時には必ず寄ってしまいます。写真3 つかそばのかけ中か最後に感謝3年経ち、新潟県での勤務も満了となりました。遅筆の自分が30回も連載できたのは、ひとえに故郷新潟の魅力のおかげです。広報室担当の北山さんにはいつもギリギリの入稿で迷惑をかけましたが、温かく対応して頂き、御礼申し上げます。新潟を題材としつつ、極力他都道府県との比較や関わりを切り口とすることを心掛けましたが、そうした作業を通じて、日本全国どの地域にも素晴らしい魅力があるということを実感しました。それを見つめて再認識し、磨いて発信する大切さとともに、ひたむきに日々を暮らす人々の存在が、地域の宝の維持・発展には不可欠だということも実感しました。3年間の仕事・生活は本当に充実したものになりました。少子高齢化・人口減少社会の影響の大きさ、一方でそれを見据えた対応がなかなかやりきれていないこと、でも、食料や水、贅沢な空間、集落の絆などの資源があること、未来を切り拓こうと頑張っている人々がいることなど、明るい可能性はあちこちで見られます。地域で暮らす一人ひとりの生きざまを心の中心に置きながら、世界の中の日本の未来のため、微力を尽くしたいと思います。これまでお読みいただき、ありがとうございました。58 ファイナンス 2020 Jul.連載ニイ「ガタ」、「トキ」、書いてみませんか?

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