ファイナンス 2020年7月号 No.656
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も、おおよそ25%だけATMからアウトへ離れたプットとコールのIVの差でスキューを計算しているということです。これを例えば、「が、ここではあくまでも仮想的な値を用いています。からの乖離を表現できるので、デルタを利用してスキ。例えば、前述ので取得できる国債先物オプシか月の「-」で定義されてのオプションの中でも、だけから離れたプットと計算しているというこ「-」トに外れたオプションでスキューをみていることになりまでの時間によってデルタの形状が変わることに注意する必要がありま例えば、のオプションのように現在の円からある程度離れできる可能性がないので、原資産が多少動いてもオプションの価値はります。一方、満期が長ければ、仮にから離れたオプシ利益を生む可能性があるため、価格が動くことによりオプションの価で以下であるが表示されています。を用いると、ボラティリティ・スマイルを表示するうえで、などの表示がなされています。はデルタのプット、す。のでは、デフォルトの設定とし、、、、が表示されています。」という形で定義すればよりアウトに外れたオプションでスキューを定義していることになります。ちなみに、円債市場の実務家は国債の金利リスクを「デルタ」と呼ぶことが少なくありません*16。金利リスクをデルタと呼ぶ理由として、債券価格を金利のデリバティブと解釈すれば、金利が変化した時の債券価格の変化はまさにデルタに相当するため、金利リスクをデルタと呼んでいると解釈できます。4おわりにこれまで三回にわたり、日本国債先物オプションを*16) 金利リスクは、デュレーション、DV01、ベーシス・ポイント・バリューなどと呼ばれることもあります。*17) 国債先物オプションに関する運用戦略の分析が少ない一因は、国債先物オプションは制度的に満期が1か月程度であることから、満期が短く、ベガリスクが少ないことなどがあります。しばしばオプションの満期が長いセクターをベガ・セクター、1年以下など満期が短いセクターをガンマ・セクターといいますが、その意味では先物オプションはガンマ・セクターに含められます。*18) 具体的にはハル(2016)の第18章をご参照ください。中心にオプションの説明をしてきました。オプションについては多数書籍があるものの、その多くはモデルの説明であったり、株式や為替が主語となっているテキストが少なくありません。そこで、ここでの連載では可能なかぎり債券を中心にオプションの基本事項について解説をしてきました。もっとも、実際の実務において円金利オプションから金利リスクを計算する際、国債先物オプションではなく、スワップションのIVが用いられることもあります。その一因はスワップションの場合、Bloombergなどを使えば簡単にデータが取得できることに加え、様々な満期や年限のIVを算出することが可能であることなどが挙げられます*17。そこで、次回はスワップションについての解説を行うことを予定しています。BOX 1 ブラック76モデル(ブラック・モデル)服部(2020a)では、ブラック76モデル(ブラック・モデル)とは、フィッシャー・ブラック教授が1976年に発表した論文(Black 1976)で提案されたモデルであり、通常のブラック・ショールズ・モデルにおける株価をフォワード価格へ修正したモデルであると説明しました。ここではもう少し具体的に同モデルについて考えてみます。ハル(2016)に記載しているとおり、ブラック76モデルではブラックモデル(ブラック・モデル)服部()では、ブラックモデル(ブラック・モデル)とは、フィッシャー・ブラック教授が年に発表した論文で提案されたモデルであり、通常のブラック・ショールズ・モデルにおける株価をフォワード価格へ修正したモデルであると説明しました。ここではもう少し具体的に同モデルについて考えます。ハル()に記載しているとおり、ブラックモデルではをコール・オプションのプレミアム、をプット・オプションのプレミアムとすると、下記の通りです。=−[0(1)−(2)]=−[(−2)−0(1)]ここで、1と2は下記の通りです。1=ln(0/)+2/2√2=ln(0/)−2/2√=1−√気を付けるべき点はボラティリティはとなっており、権利行使価格や時間に依存せず、一定の値になっている点です。本稿ではブラック・ショールズ・モデルやブラックモデルの場合、ボラティリティ・スマイルがフラットになることを指摘しましたが、これはボラティリティに対してこのような想定を置くことからきています。この式を用いてオプションの国債先物オプションのプレミアムを計算する場合、先物の価格0、権利行使価格、満期、金利、ボラティリティを代入すればコール及びプット・オプションのプレミアムを計算することができます。ここでは、実際の数値例を用いて計算方法を確認しておきます。先物価格は円(0=152.49)、権利行使価格は円(=151.5)、安全利子率は(=0.023)、現時点は、満期は(は年表示であるため、=0.12)である日本国債先物オプションを考えます。ここで=2.75とすると、プット・オプションのプレミアム()は式()により算出することができをコール・オプションのプレミアム、ブラックモデル(ブラック・モデル)服部()では、ブラックモデル(ブラック・モデル)とは、フィッシャー・ブラック教授が年に発表した論文で提案されたモデルであり、通常のブラック・ショールズ・モデルにおける株価をフォワード価格へ修正したモデルであると説明しました。ここではもう少し具体的に同モデルについて考えます。ハル()に記載しているとおり、ブラックモデルではをコール・オプションのプレミアム、をプット・オプションのプレミアムとすると、下記の通りです。=−[0(1)−(2)]=−[(−2)−0(1)]ここで、1と2は下記の通りです。1=ln(0/)+2/2√2=ln(0/)−2/2√=1−√気を付けるべき点はボラティリティはとなっており、権利行使価格や時間に依存せず、一定の値になっている点です。本稿ではブラック・ショールズ・モデルやブラックモデルの場合、ボラティリティ・スマイルがフラットになることを指摘しましたが、これはボラティリティに対してこのような想定を置くことからきています。この式を用いてオプションの国債先物オプションのプレミアムを計算する場合、先物の価格0、権利行使価格、満期、金利、ボラティリティを代入すればコール及びプット・オプションのプレミアムを計算することができます。ここでは、実際の数値例を用いて計算方法を確認しておきます。先物価格は円(0=152.49)、権利行使価格は円(=151.5)、安全利子率は(=0.023)、現時点は、満期は(は年表示であるため、=0.12)である日本国債先物オプションを考えます。ここで=2.75とすると、プット・オプションのプレミアム()は式()により算出することができをプット・オプションのプレミアムとすると、コールとプットのプレミアムは下記の式で算出できます*18。ブラックモデル(ブラック・モデル)服部()では、ブラックモデル(ブラック・モデル)とは、フィッシャー・ブラック教授が年に発表した論文で提案されたモデルであり、通常のブラック・ショールズ・モデルにおける株価をフォワード価格へ修正したモデルであると説明しました。ここではもう少し具体的に同モデルについて考えます。ハル()に記載しているとおり、ブラックモデルではをコール・オプションのプレミアム、をプット・オプションのプレミアムとすると、下記の通りです。=−[0(1)−(2)]=−[(−2)−0(1)]ここで、1と2は下記の通りです。1=ln(0/)+2/2√2=ln(0/)−2/2√=1−√気を付けるべき点はボラティリティはとなっており、権利行使価格や時間に依存せず、一定の値になっている点です。本稿ではブラック・ショールズ・モデルやブラックモデルの場合、ボラティリティ・スマイルがフラットになることを指摘しましたが、これはボラティリティに対してこのような想定を置くことからきています。この式を用いてオプションの国債先物オプションのプレミアムを計算する場合、先物の価格0、権利行使価格、満期、金利、ボラティリティを代入すればコール及びプット・オプションのプレミアムを計算することができます。ここでは、実際の数値例を用いて計算方法を確認しておきます。先物価格は円(0=152.49)、権利行使価格は円(=151.5)、安全利子率は(=0.023)、現時点は、満期は(は年表示であるため、=0.12)である日本国債先物オプションを考えます。ここで=(1)ブラックモデル(ブラック・モデル)服部()では、ブラックモデル(ブラック・モデル)とは、フィッシャー・ブラック教授が年に発表した論文で提案されたモデルであり、通常のブラック・ショールズ・モデルにおける株価をフォワード価格へ修正したモデルであると説明しました。ここではもう少し具体的に同モデルについて考えます。ハル()に記載しているとおり、ブラックモデルではをコール・オプションのプレミアム、をプット・オプションのプレミアムとすると、下記の通りです。=−[0(1)−(2)]=−[(−2)−0(1)]ここで、1と2は下記の通りです。1=ln(0/)+2/2√2=ln(0/)−2/2√=1−√気を付けるべき点はボラティリティはとなっており、権利行使価格や時間に依存せず、一定の値になっている点です。本稿ではブラック・ショールズ・モデルやブラックモデルの場合、ボラティリティ・スマイルがフラットになることを指摘しましたが、これはボラティリティに対してこのような想定を置くことからきています。この式を用いてオプションの国債先物オプションのプレミアムを計算する場合、先物の価格0、権利行使価格、満期、金利、ボラティリティを代入すればコール及びプット・オプションのプレミアムを計算することができます。ここでは、実際の数値例を用いて計算方法を確認しておきます。先物価格は円(0=152.49)、権利行使価格は円(=151.5)、安全利子率は(=0.023)、現時点は、満期は(は年表示であるため、=0.12)である日本国債先物オプションを考えます。ここで=(2)ここで、ブラックモデル(ブラック・モデル)服部()では、ブラックモデル(ブラック・モデル)とは、フィッシャー・ブラック教授が年に発表した論文で提案されたモデルであり、通常のブラック・ショールズ・モデルにおける株価をフォワード価格へ修正したモデルであると説明しました。ここではもう少し具体的に同モデルについて考えます。ハル()に記載しているとおり、ブラックモデルではをコール・オプションのプレミアム、をプット・オプションのプレミアムとすると、下記の通りです。=−[0(1)−(2)]=−[(−2)−0(1)]ここで、1と2は下記の通りです。1=ln(0/)+2/2√2=ln(0/)−2/2√=1−√気を付けるべき点はボラティリティはとなっており、権利行使価格や時間に依存せず、一定の値になっている点です。本稿ではブラック・ショールズ・モデルやブラックモデルの場合、ボラティリティ・スマイルがフラットになることを指摘しましたが、これはボラティリティに対してこのような想定を置くことからきています。この式を用いてオプションの国債先物オプションのプレミアムを計算する場合、先物の価格0、権利行使価格、満期、金利、ボラティリティを代入すればコール及びプット・オプションのプレミアムを計算することができます。ここでは、実際の数値例を用いて計算方法を確認しておきます。先物価格は円(0=152.49)、権利行使価格は円(=151.5)、安全利子率は(=0.023)、現時点は、満期は(は年表示であるため、=0.12)である日本国債先物オプションを考えます。ここで=とブラックモデル(ブラック・モデル)服部()では、ブラックモデル(ブラック・モデル)とは、フィッシャー・ブラック教授が年に発表した論文で提案されたモデルであり、通常のブラック・ショールズ・モデルにおける株価をフォワード価格へ修正したモデルであると説明しました。ここではもう少し具体的に同モデルについて考えます。ハル()に記載しているとおり、ブラックモデルではをコール・オプションのプレミアム、をプット・オプションのプレミアムとすると、下記の通りです。=−[0(1)−(2)]=−[(−2)−0(1)]ここで、1と2は下記の通りです。1=ln(0/)+2/2√2=ln(0/)−2/2√=1−√気を付けるべき点はボラティリティはとなっており、権利行使価格や時間に依存せず、一定の値になっている点です。本稿ではブラック・ショールズ・モデルやブラックモデルの場合、ボラティリティ・スマイルがフラットになることを指摘しましたが、これはボラティリティに対してこのような想定を置くことからきています。この式を用いてオプションの国債先物オプションのプレミアムを計算する場合、先物の価格0、権利行使価格、満期、金利、ボラティリティを代入すればコール及びプット・オプションのプレミアムを計算することができます。ここでは、実際の数値例を用いて計算方法を確認しておきます。先物価格は円(0=152.49)、権利行使価格は円(=151.5)、安全利子率は(=0.023)、現時点は、満期は(は年表示であるため、=0.12)である日本国債先物オプションを考えます。ここで=は下記の通りです。ブラックモデル(ブラック・モデル)服部()では、ブラックモデル(ブラック・モデル)とは、フィッシャー・ブラック教授が年に発表した論文で提案されたモデルであり、通常のブラック・ショールズ・モデルにおける株価をフォワード価格へ修正したモデルであると説明しました。ここではもう少し具体的に同モデルについて考えます。ハル()に記載しているとおり、ブラックモデルではをコール・オプションのプレミアム、をプット・オプションのプレミアムとすると、下記の通りです。=−[0(1)−(2)]=−[(−2)−0(1)]ここで、1と2は下記の通りです。1=ln(0/)+2/2√2=ln(0/)−2/2√=1−√気を付けるべき点はボラティリティはとなっており、権利行使価格や時間に依存せず、一定の値になっている点です。本稿ではブラック・ショールズ・モデルやブラックモデルの場合、ボラティリティ・スマイルがフラットになることを指摘しましたが、これはボラティリティに対してこのような想定を置くことからきています。この式を用いてオプションの国債先物オプションのプレミアムを計算する場合、先物の価格0、権利行使価格、満期、金利、ボラティリティを代入すればコール及びプット・オプションのプレミアムを計算することができます。ここでは、実際の数値例を用いて計算方法を確認しておきます。先物価格は円(0=152.49)、権利行使価格は円(=151.5)、安全利子率は(=0.023)、現時点は、満期はブラックモデル(ブラック・モデル)服部()では、ブラックモデル(ブラック・モデル)とは、フィッシャー・ブラック教授が年に発表した論文で提案されたモデルであり、通常のブラック・ショールズ・モデルにおける株価をフォワード価格へ修正したモデルであると説明しました。ここではもう少し具体的に同モデルについて考えます。ハル()に記載しているとおり、ブラックモデルではをコール・オプションのプレミアム、をプット・オプションのプレミアムとすると、下記の通りです。=−[0(1)−(2)]=−[(−2)−0(1)]ここで、1と2は下記の通りです。1=ln(0/)+2/2√2=ln(0/)−2/2√=1−√気を付けるべき点はボラティリティはとなっており、権利行使価格や時間に依存せず、一定の値になっている点です。本稿ではブラック・ショールズ・モデルやブラックモデルの場合、ボラティリティ・スマイルがフラットになることを指摘しましたが、これはボラティリティに対してこのような想定を置くことからきています。この式を用いてオプションの国債先物オプションのプレミアムを計算する場合、先物の価格0、権利行使価格、満期、金利、ボラティリティを代入すればコール及びプット・オプションのプレミアムを計算することができます。ここでは、実際の数値例を用いて計算方法を確認しておきます。先物価格は円(0=152.49)、権利行使価格は円(=151.5)、安全利子率は(=0.023)、現時点は、満期は 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