ファイナンス 2020年7月号 No.656
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■第10章「スイスの経済構造と主要産業の現状と課題」(佐藤栄一郎 財務総研総務課長、佐野春樹 同前研究員)佐藤・佐野論文は、スイスが人口・面積ともに九州と同規模であるものの、2018年のOECD統計によれば、一人当たりGDP(6.6万ドル)は日本(4.2万ドル)と比較して1.5倍程度高いことから、その豊かさの背景について産業構造に着目し、分析している。スイスは、輸出主導型経済を進めつつ、教育システムにも職業教育訓練を体系的に組み込んで労働市場へのアクセスを容易にし、研究開発を充実させることで、優れた人材や商品・サービスを生み出しているのが特徴となっている。スイスは輸出大国であるが(図表11)、この輸出のうち9割が多国籍企業によるものとなっており、激化している国際競争において、スイスの主要産業である製薬業や金融業では、規模の拡大や事業の選択と集中を行うことで、競争力を確保する動きを強めていると論じている。図表11 スイスの輸出品目(2018年)(注1)単位:百万スイスフラン。合計233,224(2018年)。(注2)貴金属、美術品、骨とう品除く。(出所)第10章「スイスの経済構造と主要産業の現状と課題」図表5より引用。化学・製薬104,372機械・器具・電機33,520時計21,180精密機械16,806金属14,402宝石11,586その他31,358以上が本研究会の概要である。現在、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、人命や健康、経済活動に甚大な被害が及んでいる。各国政府は、感染症の拡大を抑制するため経済・社会のあらゆる面で様々な対策を実施しているところであるが、同時に、企業、個人のレベルにおいても、ICT技術を十二分に活用しつつこれまでの行動様式を変えて対応していこうとする大きな社会変革が起きている。本報告書は、人口減少について、企業・産業、労働市場、グローバル化など各分野の専門家が現状を分析し、課題を克服するための提言が数多く盛り込まれたものであるが、それらの内容が、今述べたような政府の対策や社会変革の対応に少しでも貢献することができれば、執筆者にとっては望外の喜びである。■研究会報告書は、財務総研HPでご覧いただけます。■URL:https://www.mof.go.jp/pri/research/conference/fy2019/jinkou.htm■QRコード: ファイナンス 2020 Jul.45「人口減少と経済成長に関する研究会」の概要報告SPOT

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