ファイナンス 2020年7月号 No.656
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れた。その後、国会での審議を経て、4月30日に成立することとなった。一方で、国内の感染状況は拡大を続け、第1次補正予算の編成のさなか、4月7日に首都圏などで緊急事態宣言が発動された後、4月16日には対象地域が全国に拡大されることとなった。(4) 総理による令和2年度補正予算(第2号)の編成指示緊急事態宣言が4月16日に全国対象となった後、5月14日に安倍総理より、8つの特定警戒都道府県を除いて緊急事態宣言が解除された。この解除と併せて、「コロナ時代の『新たな日常』」を取り戻すために、上述の第1次補正予算を強化するため、以下5つの柱を中心として、さらに令和2年度補正予算(第2号)(以下、「第2次補正予算」)の編成が指示された。(1)休業を余儀なくされた国民の暮らしを守るための、雇用調整助成金の抜本的な拡充及び新制度の創設(2)中小・小規模事業者のための新たな家賃支援制度(3)アルバイト収入の激減等を受けた学生のための新たな支援(4)医療体制に関する包括支援交付金の全額国費負担と積み増し及び医療現場の課題解決のための強力な支援(5)中小企業、中堅・大企業の資金繰り支援のための金融機能の強化第2次補正予算は、この指示に基づき、第1次補正予算を強化するために編成され、5月27日の概算閣議決定を経て、6月8日に国会へ提出された。その後、国会での審議を経て、6月12日に成立することとなった。上述の経緯にて編成された緊急経済対策(第1次補正予算等)及び第2次補正予算等は、あわせて総額230兆円を超える事業規模となり、事業と雇用を守り抜き、100年に1度の危機と呼ばれる状況を乗り越えるための空前絶後の規模だといえる。2第1次補正予算の概要(1)歳出本補正予算は、上述の「新型コロナウイルス感染症緊急経済対策」の実行等のために編成され、新型コロナウイルス感染症等の感染拡大防止や、雇用の維持に必要な経費を計上するとともに、新型コロナウイルス終息後を見据えた経済構造の構築も念頭に置いている。その具体的内容は以下の通りである。(1)新型コロナウイルス感染症緊急経済対策関係経費(25兆5,655億円)(ア)感染拡大防止策と医療提供体制の整備及び治療薬の開発(1兆8,097億円)新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金や、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金など医療提供体制の強化等のための経費1兆3,314億円、マスク・消毒液等の確保のための経費1,730億円などを計上している。(イ)雇用の維持と事業の継続(19兆4,905億円)特別定額給付金など生活に困っている人々への支援のための経費13兆1,274億円、持続化給付金など事業継続に困っている中小・小規模事業者等への支援のための経費2兆4,293億円を計上しているほか、資金繰り対策として3兆8,380億円を計上している。(ウ)次の段階としての官民を挙げた経済活動の回復(1兆8,482億円)観光・運輸業、飲食業、イベント・エンターテイメント事業等に対する支援として1兆6,794億円や地域経済の活性化のための経費として1,687億円などを計上している。(エ)強靭な経済構造の構築(9,172億円)リモート化等によるデジタル・トランスフォーメーションの加速のための経費3,592億円や海外展開企業の事業の円滑化、農林水産物・食品の輸出力の維持・強化及び国内供給力の強化支援のための経費3,014億円などを計上している。(オ)新型コロナウイルス感染症対策予備費(1兆5,000億円)今後の新型コロナウイルス感染症の状況や経済動向を踏まえ、必要な対策を講じるための十二分の備えとして、「新型コロナウイルス感染症対策予備費」 ファイナンス 2020 Jul.11令和2年度補正予算(第1号及び第2号)の概要についてSPOT

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