ファイナンス 2020年6月号 No.655
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各地の話題5実施結果審査委員会では、提案者からのプレゼンと質疑を行いました。審査委員会は外部の有識者5名により構成し、デザインを専攻する大学講師を委員長に据え、その他の委員は不動産、財務、環境、行政の分野から選出しました。なお、企画提案は7者からの提出があり、提出後に1者が辞退したため、6者を審査委員会に諮り、前述した跡地利用の考え方に即しているかどうか、開発コンセプトや開発スケジュールがどのようになっているか、といった視点で審査が行われました。審査委員からは、緑化計画の実現可能性や、車両通行にあたっての渋滞回避の方法、また、北海道ならではの冬季の積雪対策などに関する質問がありました。審査を通過したのは3者でした。その後の期日入札で、「(株)長谷工不動産・積水化学工業(株)」が落札し、令和2年2月14日に契約を締結しました。契約金額は45億5百万円でした。パース図(北海道財務局HPより)6今後の予定契約相手方の提案概要から整備を予定している施設は、「スーパーマーケット」、「家電量販店」、「飲食店」、「戸建住宅」、「分譲マンション」、「病院」、「クリニックモール」となっています。今後はスケジュール通りに進捗しているかどうか四半期ごとに報告をもらうこととしており、完成は2024(令和6)年9月を予定しています。7地域貢献北海道財務局で初めてとなる二段階一般競争入札でしたが、全国でも5例しかなく、多くの事例があるわけではありません。実際に取り組んでみたところ、・事前に提案内容を把握できるので、地域住民が早い段階で知る機会が得られる。・専門家を審査委員に加えることで、行政のみならず各分野の意見を審査の過程で反映しやすい。といったことを実感できたほか、何よりも、・当局がまちづくりを自ら手掛けて、景観を確保しながら地域が期待する施設を誘致できたという達成感を得ることができた。ことが一番の収穫でした。これは業務を通じて成果に結びつけた地域貢献の一つのあり方ではないかと実感したところです。8最後に財務省理財局では令和元年9月に国有地の最適利用に関する通達を発出し、今後は有用性が高く希少な国有地は所有権を留保して、定期借地権による活用を進めていくこととなりました。各財務局においては、さらにきめ細かく地域のニーズを把握し、自治体と議論を重ねていく必要があります。特に札幌市は、2030年の冬季オリンピック・パラリンピックの国内候補地としてJOC理事会で選定されました。もし開催が決定すれば1972年以来の開催となります。今回ご紹介した物件が完成した姿や定期借地権で有効に利用されている国有地も皆様に見ていただけるように頑張りたいと思います。ご来道をお待ちしています。 ファイナンス 2020 Jun.77連載各地の話題

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