ファイナンス 2020年6月号 No.655
79/84

各地の話題4リノベーションによるまちづくり当市では、リノベーションによるまちづくりを推進するため、平成28年度からこれまで4年間、リノベーションスクールを開催してきました。本スクールでは、まず空き店舗(3店舗)のオーナーに物件を提供していただくことから始まります。同時に、受講生を全国公募し、参加した受講生はユニットと呼ばれる8名程度のチームを3ユニット組みます。スクールは、あくまでも実践形式で、周辺環境やまちの歴史、人口動態など基礎データのエリアサーベイや、店舗オーナーへのヒアリング、店舗をリノベーションするための設計、デザイン、運用形態や事業収支など事業プランの企画立案を3日間で行い、リノベーションによる物件の再生手法を学んでいきます。最終日に物件オーナーへ企画案をプレゼンテーションし、オーナーが了承すれば、スクール終了後に実事業化を目指すというのが、大まかな流れです。なお、実事業化する店舗は、受講生がオーナーから空き店舗1棟を一括借上し、店子に貸出をするという、家や守もり(江戸時代、地主、家主に代わってその土地、家屋を管理する人)の手法によって物件を管理していきます。 スクールの様子(左写真:オーナーへのプレゼン)現在、平成28年度に開催した第1回リノベーションスクールの受講生の一部が「みやこんじょやもい舎」を設立し、中心市街地にあった空き店舗をリノベーションし、実事業化を図っています。 「みやこんじょやもい舎」の案件5リノベーションによるまちづくりを促進する支援策当市では、リノベーションによるまちづくりを促進するため、市の支援策として、平成29年度から「都城市中心市街地再生プラン事業」を実施しています。本事業では、空き店舗のオーナーが賃貸を目的に店舗の改装を行うための「空き店舗リフォーム補助金」や、事業者が店舗を開くための「リノベーションまちづくり補助金」等による支援を行い、中心市街地への新規出店を促進しています。これらの支援策の効果により、オーナーや出店者のマインドも大きく変化しており、新規出店数の増加や(H29~31年度で約50店)、空き店舗率の改善(H28年11月29.3%→R2年2月22.4%)に繋がっています。また、中心市街地中核施設「Mallmall」は、高質的な空間とその居心地の良さから、年間延べ200万人もの人が訪れる施設となっており、新規出店の増加と相まって中心市街地の流入人口は大幅に増加しました。今後は、まちなか居住の推進により定住人口の増加を図り、「居心地が良く歩いて楽しいまちづくり」を実現していきたいと考えています。ワクワクするようなまち中を訪ねてみませんか!地方創生コンシェルジュ九州財務局宮崎財務事務所長 宮浦裕司都城市は各地の地方都市同様に市街地が衰退していたところを財務省OBである若き池田市長が様々なアイデアを駆使して活性化を進めています。このリノベーションによるまちづくりはその最たるものであり、空き店舗を活用することでまち中が徐々に活気づいていくでしょう。歩く度に変貌していくワクワクするような都城市のまち中を訪ねてみませんか。九州財務局では、同市で開催されたリノベーションスクールに職員が参加するとともに、熊本県の自治体や金融機関等にも声掛けし一緒に視察したほか、当局の仲介により、リノベーションまちづくりの全国の本部と日本政策金融公庫との連携の足掛かりをつくるなど、都城市の取組みを通して、地方創生に微力ながら貢献できました。 ファイナンス 2020 Jun.75連載各地の話題

元のページ  ../index.html#79

このブックを見る