ファイナンス 2020年6月号 No.655
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各地の話題3官民連携による取り組み推進プロジェクトKは、地域活性化を目指す者が任意に集まり議論を交わすという形でスタートしましたが、初めの頃は、「いつまで実施するのか」「ボランティアで続けていくには限界がある」等の意見が散見されたものの、3年経過する現在では、当初メンバーに加え、新たな誘致企業2社、商工会、観光協会、金融機関が加わり、町からも商工労働部門、農林業部門、教育部門等も参加し、毎月1回欠かさず参集して協議を重ねています。これは、当初メンバーの全員が、ゾーホージャパン(株)の「人の役に立ち人と喜びを分かちあう」という経営理念と取組への共感を深め、地域課題が山積する当町に誘致企業であるゾーホージャパン(株)をまず定着化させることを主眼としたこと、併せて、この町に住む人々が「ずっと住みたい」と思う町を創るためにやるべきことを話し合い、そこで決まったことを参加者自らが実践する。といった目的を明確にしたことで、継続した取り組みとすることができました。プロジェクトKの様子4今後の展開現在では、誘致企業であるゾーホージャパン(株)、(株)アリノス、(株)経営参謀の3社に加え、その関係者やプロジェクトKメンバーの一部が構成員となり、「事業を通じて地域課題を解決する」ためにKAWANEホールディングスという新しい会社も設立されました。KAWANEホールディングス設立記念式典プロジェクトKでは、これからも「地域の課題を解決するために、自らができることを考え、話し合い、自らが実践していく」ことを基本とし、連携と共感を深化させながら、取り組みを進めていきたいと考えています。そして、更なる誘致企業の獲得による就労機会の創出や、地域活性化を目指し頑張っている人を応援することで、この実践内容が全国的に評価され、「川根モデル」として他地域の手本となることを目指しています。静岡から過疎地域ならではの地域活性化モデルを地方創生コンシェルジュ東海財務局静岡財務事務所長 山崎正晴川根本町は静岡県中部の中山間地域に位置し、豊かな自然に囲まれ、毎日SLが走ることで有名な町。人口6.8千人、高齢化率48.4%の過疎地であるが、「プロジェクトK」の取組みの熱さに驚かされる。「プロジェクトK」の強みは、官民問わず全ての構成員が地域活性化を自分ごととして捉え、農業・移住・観光の各部会に分かれて、それぞれが主体的に取り組んでいること。また、各々進めている取組みの進捗状況について、方向性や問題点を共有し、解決策や協力できること等について話し合い、連携することで、より柔軟でスピーディーな事業展開を可能としていることにある。企業の誘致や設立、移住者の増加、6次産業化による稼げる農業など、取組みの成果も見られ、同町の未来に期待が膨らむ。地方創生コンシェルジュとしても、この「川根モデル」の進化・発展に向けて、ひきつづき支援していきたい。 ファイナンス 2020 Jun.73連載各地の話題

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