ファイナンス 2020年6月号 No.655
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ASEAN輸出が増加しているとはいえ、その一部は最終的には米国へ輸出されているとみられ、米国の経済状況が中国の輸出に与える影響は依然大きいと考えられる。なお、中国の対ASEAN輸出伸び率を国別にみると、全体的に伸び率は高いものの、2018年後半以降、ベトナム向けが特に伸びている(図6)。さらに、米国の対ASEAN輸入を国別にみても、対ベトナム輸入が堅調に伸びており(図7)、ベトナムが迂回地として活用されていることを示唆している。以上のように、米中貿易摩擦を機に、中国の輸出構造が変化しつつあることがわかった。しかしながら、足元で世界経済に多大な影響をもたらしているのは、新型コロナウイルスである。2020年第1四半期(1-3月)は、中国における都市封鎖や感染の世界的拡(図2)中国の対米輸出額(月次)▲50▲40▲30▲20▲1001020304050(年)20202019201820171357911135791114357911050045040035030025020015010050(億ドル)(%)(注)  2020年より、1‒2月を合算で公表(出所)中国海関総署1‒2対米輸出額対米輸出額前年比(右軸)(図3)中国の輸出の国別シェア米国19.1%EU16.5%ASEAN12.5%香港12.5%日本6.1%その他33.3%2017米国19.3%EU16.5%ASEAN12.9%香港12.2%日本5.9%その他33.1%2018米国16.7%EU17.1%ASEAN14.4%香港11.2%日本5.7%その他34.8%2019(出所)中国海関総署(図4)中国の国・地域別輸出額(年)20202019201820171357911135791114357911050045040035030025020015010050(億ドル)(注)  2020年より、1‒2月を合算で公表(出所)中国海関総署1‒2対米対EU対ASEAN54 ファイナンス 2020 Jun.連載海外経済の 潮流

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