ファイナンス 2020年6月号 No.655
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シェアリングエコノミーに対する市場の評価・シェアリングエコノミーが抱える課題として、認知度の低さがあるが、スマートフォンやSNSの普及により認知度は年々増加しており、2019年調査では、4人に1人が認知している(図表3)。・シェアリングエコノミーの利用者としての利用意向についてのアンケート結果では、若者世代を中心に利用意向は強く、さらに前向きな意見は全世代で増加傾向にある(図表4)。また、モノをシェアする上で課題となる、中古やリサイクル品への抵抗感についても若者世代を中心に抵抗はないとの回答割合は高く、さらにほぼ全ての世代で許容する傾向が強まっている(図表5)。・消費者庁の調査では、「モノを持たない暮らしに憧れるか」との質問に対し、当てはまるとの回答が過半数を超えており、シェアリングサービスが受け入れられやすい環境が整ってきている。(図表6)(図表3)シェアリングエコノミーの認知度についてのアンケート26.922.119.1(質問)あなたはシェアリングエコノミーをご存知ですか?N=10,029N=9,918N=9,707具体的に知っている聞いたことはある程度全く知らない2017年2018年2019年0%20%40%60%80%100%(図表4) シェアリングエコノミーの利用者として利用意向についてのアンケートシェアリングエコノミーサービスの利用者としての利用意向利用に前向きな意見利用したい検討してもよいあまり利用したくないしたい利用したいと思わない2019年2018年2017年70代60代50代40代30代20代10代70代60代50代40代30代20代10代0%100%0%20%20%40%40%60%60%80%80%(図表5)中古やリサイクル品の利用についてのアンケート45525151474540354656545248454336「中古やリサイクル品を使うことに抵抗はない」と答えた人の割合推移2015年:N=10,3162018年:N=10,0656050403020100(%)2015年2018年全体10代20代30代40代50代60代70代(図表6)モノの所有についてのアンケートかなり当てはまる15.7 %ある程度当てはまる36.2 %あまり当てはまらない9.1 %どちらともいえない34.3 %まったく当てはまらない4.6 %できるだけモノを持たない暮らしに憧れるN=3,000(注1)各図表内の「N」は、調査対象者数、図表4の「N」は図表3と同数(注2)図表4の利用に前向きな意見は利用者としての利用意向の「利用したい」と「検討してもいい」との回答を合計した数値(出典)PwC「国内シェアリングエコノミーに関する意識調査2019」、NRI「生活者1万人アンケート調査」、消費者庁「平成28年度消費生活に関する意識調査結果報告書」(2017年7月)シェアリングエコノミーの経済への影響・シェアリングエコノミーは以下の観点から経済活動を拡大する効果があると考えられる。(図表7)(1)供給不足が解消されることによる消費の拡大効果例:長期休暇やイベント等一時的な需要の増大がある宿泊業において、宿泊施設で吸収しきれない需要を民泊サービスがカバー(図表8)(2)これまで製品・サービスを利用したい意欲はあるものの、価格や、手続き等が障壁となり、購入まで至っていなかった消費者の需要を取り込む効果例:ハイシーズンにおける宿泊料金の高騰で旅行を躊躇していた消費者が、安価な民泊サービスを利用自動車を利用したいが、購入には至ってはいなかった潜在的利用者によるカーシェアリングの拡大(図表9)(3)シェアリングプラットフォームを提供する事業者や、利用者に対して、新たな製品・サービスを提供するビジネスの拡大効果例:民泊提供者と利用者間の鍵の受け渡しを仲介するサービス、シェアリングエコノミー専用の賠償責任保険の販売 ファイナンス 2020 Jun.51コラム 経済トレンド 72連載経済 トレンド

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