ファイナンス 2020年5月号 No.654
79/84

各地の話題◆海上自衛隊呉地方総監部鎮守府開庁当時の庁舎は、現在、海上自衛隊呉地方総監部第一庁舎として使われています。外壁のレンガはイギリス積み、中央部玄関から屋根までは御み影かげ石いしが使用されるなど、レンガと御影石の調和がとれた美しいデザインが特徴です。美しさと重厚さを備えた建物は、日本遺産構成文化財のシンボル的存在として威風堂々たる姿を見せています。海上自衛隊呉地方総監部 第一庁舎◆潜水艦の開発拠点日本一の艦船建造技術を有した呉海軍工廠の特徴の一つに、数多くの潜水艦の建造を手掛けたことがあります。昭和4年には、呉海軍工廠に独立した潜水艦部が設置され、潜水艦の重要な開発拠点となり、様々な艦を建造してきました。「アレイからすこじま」からは、海上自衛隊の潜水艦を間近に見ることができ、国内で唯一の景色を楽しむことができる公園として人気を集めています。潜水艦が停泊するアレイからすこじま◆現代に生きる「大和」の建造技術「大和」は、国力面におけるアメリカの量的優位に対し、日本が質で対抗するために建造された艦で、当時の最新技術の結晶と言えるものでした。球状船首(バルバスバウ)は、船首の水面下に球状の突起を付けることで、8%以上の造波抵抗を減らし速力が上がったほか、有効馬力の節約と航続距離の増大につながり、戦後の大型タンカーから漁船に至るまで、幅広く利用されています。日本で初めて造られた超大型スクリューは、鋳物技術の基盤となっています。また、製鋼技術、弱電(家電)技術、精密光学機器産業ほか、戦後日本の復興と高度経済成長を支えるとともに現代へと受け継がれている様々な技術などは、大和ミュージアムで紹介されています。全長26.7m(10分の1戦艦「大和」)◆酒づくり全国有数の酒どころである広島県において、呉でも多くの酒蔵が興り、酒造りの中心として発展してきました。大正9年、軍艦「浅間」が呉の酒を積んで200日以上の航海で赤道を2回通過しても劣化しなかったとして、旧海軍が発行した証明書を保存している蔵元や、近年では、航空機の国際線ファーストクラスで提供される日本酒の蔵元など、呉の酒は、国内外で高い評価を受けています。 ファイナンス 2020 May.75連載各地の話題

元のページ  ../index.html#79

このブックを見る