ファイナンス 2020年5月号 No.654
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各地の話題の精霊が宿っていそうな神秘的な雰囲気を醸し出しています。【牛突き】約800年前、隠岐へご配流となった後鳥羽上皇をお慰めするために島の人々が始めたのが起源とされ、全国的にみてもわずかに残るのみとなった闘牛の伝統行事であり、年3回の本場所が開催されています。本場所大会はまさに真剣勝負で、決着は一方の牛が逃げ出すまで続きます。横綱同士の突合いは迫力満点で、角と角がぶつかり合う音や息遣い、牛の綱を持ちさばく綱つな取とりの気合のこもった掛け声が響く迫力満点の取組が見られます。【隠岐古典相撲】隠岐古典相撲の起源は、江戸時代まで遡り「神事」として行われてきたことから、勝負は同じ力士が2度連続して取り組み、先に勝った方が、2度目の勝ちを相手に譲り1勝1敗で終わります。狭い島内にいざこざを残さないための配慮といわれ、これを「人情相撲」と呼んでいます。現在では神社遷宮や大きなプロジェクトの完工など、慶祝事業に伴って行われます。◆島前(西ノ島町・海士町・知夫村)島前は、隠岐諸島のうち西側にある西ノ島(西ノ島町)、中ノ島(海士町)、知ち夫ぶ里り島(知夫村)の有人3島及び周辺の無人島により構成される群島であり、島後同様、主要産業は漁業、畜産、観光関連業になります。島前3島は約500万年前の海底火山の噴火により隆起した後、カルデラが形成されたもので、海に浮かぶカルデラの絶景が楽しめます。◇西ノ島(西ノ島町)ダイナミックな自然景観が印象的な島で、かつて火山島だったことから、高低の起伏が激しく、海岸には自然のアートとも言える奇岩や怪礁が連なります。後醍醐天皇が配流された島でもあります。【国賀海岸(摩天崖)】約13kmにわたり、大規模な海蝕作用によって出来た崖で巨大なナイフで垂直に切り取ったような海抜257mの大絶壁です。周辺一帯での放牧地では、牛馬がのんびり草を食す姿が見られます。【黒木御所阯】別府港の東、湾に突き出た丘の上にあり、元弘2年、後醍醐天皇が配流になられ、約1年間住まわれたといわれる伝承の地で、島を代表する史跡となっています。◇中ノ島(海士町)対馬暖流の影響を受けた豊かな海と、名水百選(天川の水)に選ばれた豊富な湧き水にも恵まれており、自給自足のできる半農半漁の島です。鎌倉時代の承久の乱で敗れた後鳥羽上皇が配流され、在島19年後崩御された地です。 ファイナンス 2020 May.69連載各地の話題

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