ファイナンス 2020年5月号 No.654
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収入の変遷(2)・先述の通り雇用者報酬は増加基調にある。このうち、正規雇用者の給与水準は、リーマンショック後に復調し、賞与等も所定内給与と同様の動きとなっている。一方、非正規雇用については、2013年以降に所定内給与の水準が増加しているが、賞与の水準は所定内給与ほど伸びていない(図表7、8)。また、労働者に占める非正規労働者の割合は、2006年32.9%から2018年37.9%へ増加している(図表9)。・収入に対する社会保険料負担比率は全体として増加傾向にあり、一人当たりの可処分所得が目減りする要因となっている(図表10)。(図表7)正規雇用給与水準推移(正)所定内給与(正)年間賞与その他特別給与額(右軸)3303203103001,1001,000900800(千円)(千円)20052006200720082009201020112012201320142015201620172018(図表8)非正規雇用給与水準推移(非正)所定内給与(非正)年間賞与その他特別給与額(右軸)215210205200195190250200150100500(千円)(千円)20052006200720082009201020112012201320142015201620172018(図表9)正規/非正規雇用形態比重推移67.166.364.862.562.132.933.735.237.537.9正規従業員数比率非正規従業員数比率100806040200(%)20062009201220152018(図表10)社会保険料負担勤め先収入社会保険料社会保険料割合6005004003002001000141312111098(千円)(%)2000200220042006200820102012201420162018(注)所定内給与は、労働契約、労働協約あるいは事業所の就業規則などによってあらかじめ定められている支給条件、算定方法によって6月分として支給された、所得税、社会保険料等控除前の現金給与額を指す。また、年間賞与その他特別給与額は年間で支給される額を指す。(注)(図表10)社会保険料割合=(社会保険料+他の社会保険料)/勤め先収入(出典)厚生労働省「賃金構造基本統計調査」、総務省「労働力調査」、総務省「家計調査」支出の変遷・1994年以降、家計最終消費支出(名目値)は、緩やかに増加している(図表11)。・1994年から2018年の間に、家計最終消費支出は全体で約40兆円増加しているが、このうち約15兆円は「持ち家帰属家賃」の増加である。これを除いて、消費の構成比率の変化(図表12)を比較すると、「住居・電気・ガス・水道」の割合が上昇しており、また、パソコンや携帯電話の普及に押し上げられた「通信」への支出が増加している。他方で、「アルコール飲料・たばこ」、「被服・履物」や「娯楽・レジャー・文化」の支出割合は低下している。(図表11)家計最終消費支出 推移と内訳0350300250200150100502006200420022000199819961994200820102012201420162018(兆円)食料・非アルコール飲料住居・電気・ガス・水道家具・家庭用機器・家事サービス娯楽・レジャー・文化アルコール飲料・たばこ被服・履物保健・医療交通通信教育外食・宿泊その他(図表12)持ち家帰属家賃を除く家計最終消費支出の構成変化18.618.42.63.74.17.59.98.25.06.04.52.812.412.04.31.89.212.02.52.49.49.317.415.8199420180%20%40%60%80%100%食料・非アルコール飲料住居・電気・ガス・水道(持ち家帰属家賃除く)家具・家庭用機器・家事サービス娯楽・レジャー・文化アルコール飲料・たばこ被服・履物保健・医療交通通信教育外食・宿泊その他(注1)家計最終消費支出とは、新規の財貨・サービスに対する家計の支出のことを指す。(注2)持ち家の帰属家賃の推計方法:平成10年住宅・土地統計調査による全国平均の貸家・貸間の床面積当たり家賃(円/m2)に、空き家を除く住宅の総延べ床面積、さらに総床面積における持ち家比率を乗じて平成10年における持ち家の帰属家賃総額を計算し、以降は、消費者物価指数(民営家賃)と建築着工統計、建築物滅失統計から得られる増床面積(住宅全体)を用いて、延長推計を行なっている。(出典)内閣府「国民経済計算」 ファイナンス 2020 May.63コラム 経済トレンド 71連載経済 トレンド

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