ファイナンス 2020年5月号 No.654
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融危機、2011年のタイ洪水や2014年のクーデターなどにより低成長ないしマイナス成長となりましたが、以降内需が牽引役となり、2019年までは3%前後の安定成長を実現しています。2019年はバーツ高の影響や米中貿易摩擦などの影響で2.9%のGDP成長率となりました。2020年の見通しについては、COVID-19の感染拡大の影響から、GDPの寄与度の10%超を占める観光や輸出の落ち込みに伴い、年率-5.3%(2020年3月時点 出典:タイ中央銀行)や-5.0%~-3.0%(2020年3月時点 出典:世銀)という1997年のアジア通貨危機時以来の落ち込みが予想され、中でもタイは東南アジア諸国の中では最大の落ち込みが予想されています。在留邦人数は約7万5,600人であり、約5.5万人がバンコクに居住しています(2018年、外務省「海外在留邦人人数調査統計」)。タイ進出企業数はJETROの調査(2017年)によると5,444社でしたが、現在は6,000社がタイで活動していると言われております。そのため、日本食レストランも非常に多く、日本食文化が浸透し、健康志向の高まりや2013年の日本政府によるタイ人の短期取得ビザの免除の効果も相まって、タイでは日本食レストランが3,600店舗あるといわれております。新規出店の日本食レストランは近年はバンコクで逓増、バンコク以外の県では大幅に増えています。【財政事情】財政事情については、2019財政年度終了時点において、ストックで見ると債務残高対GDP比は43.44%(出典:タイ財務省公債管理局)、2019年度予算の公債依存度は8.7%と、日本の同158%、32.1%と比べると非常に財政余力があるといえます。IMF・世銀ともにタイの財務状況を評価しております。また、バーツ建債についてはBaa(Moody’s)、BBB+(S&P、Fitch)の格付けを受けています。126.4 120.3 134.3 152.3 172.9 189.3 221.8 262.9 291.4 281.7 341.1 370.8 397.6 420.3 407.3 401.3 412.4 455.3 504.9 529.2 4.5% 3.4% 6.1% 7.2% 6.3% 4.2% 5.0% 5.4% 1.7% -0.7% 7.5% 0.8% 7.2% 2.7% 1.0% 3.1% 3.4% 4.0% 4.1% 2.9% -6.0%-4.0%-2.0%0.0%2.0%4.0%6.0%8.0%10.0%0100200300400500600200012345678910111213141516171819名目GDPと実質GDP成長率の推移 (単位:10億米ドル) 名目GDP及び実質GDP成長率の推移(出展:World Economic Outlook、世銀等より筆者作成)東南アジア諸国における2020年のGDP成長率の見通し (出典:ADB) ファイナンス 2020 May.45海外ウォッチャーFOREIGN WATCHER連載海外 ウォッチャー

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