ファイナンス 2020年5月号 No.654
39/84

3最後の最後に、もっと楽になれた。お互い楽になりつつ、頭を豆腐にしながらアジア的規律ある職場で過ごした日々も終わりが来ることになった。3年間の任期末に送別会をやってくれると言う。自分の局の会と、オールADBの会。いずれも、凝ったサプライズ溢れる会だった。自分が所属していた局の会。入るといきなりお手製のJeepney(マニラを走る乗合ジープ)が置いてある。いや、よくぞここまで作ってくれた。。。そしてフィリピン人の10人以上のスタッフが寸劇と合唱を披露したかと思うと、人事担当二人が面接官と志願者に扮して「ある日の面接風景」をやる。志願者に扮した日本人男性スタッフが女性面接官に意地悪な質問をされ罵倒されるのが人柄そのままで素晴らしい。ADBの名誉にかかわるので文字に出来ないのが残念である。向かって私の右2人が面接官と志願者。Aprilもどこかにいます東京行きJeepneyと一緒に更に、次は予算チームのフィリピン人女性歌姫による替え歌熱唱である。その時スクリーンに映し出された歌詞をご覧頂ければと思うが(ちなみにDGはDirector Generalで局長のこと、BPMSDは予算人事局のことである)、2つ目のパラにしっかり「TOFU」が出てくる。「A certain tofu way to each and every little thing」⇒「1つ1つの小さいこと全てに確かに豆腐」というシュールな表現は、豆腐マインド浸透の証であろう。いずれにしても、一語一語が、照れくさくなるほど味わい深い。ADB全体の送別会の方では、司会者の某局の局長がいきなりパワポのスライドを出した。王冠をかぶった当方の写真の下に「the King of Reforms」と書いてある。この王冠は上記の自分の局の送別会でプレゼントされたものだが、それが迅速に称号まで付けてADB幹部の前に晒される。嬉しい。色々な人と一緒にやった人事と予算の改革の苦労をこんな形で最後に労ってくれた。自分の写真をお見せするのは決して趣味ではないが、今日だけはご勘弁頂きたい。もちろん自分でも企画した。自分の3年間を振り返る「My Life at ADB」なるアニメ動画。ADBのフィリピン人IT担当者に無理にお願いして、「こうこうこういう内容のアニメ動画を作ってくれない?」と大雑把な手書きの絵コンテ(?)10枚くらいを渡したところ、2日後にミュージック入り(注)で出来上がってきた。年金改革とか定年延長とかの1つ1つの改革をキリンとかペンギンとかの可愛いキャラに書き込み柔らかに表現してくれている。素晴らしい。もちろん送別会でも大好評を博した。(注) ボルテスV(ファイブ)という日本の1970年代後半のロボットアニメの主題歌。この番組は日本では人気が出なかったがフィリピンでは最高視聴率58%。主題歌はフィリピン人老若男女誰でも知っている。この動画は宝である。餞別でもらった動画USBは、災害があった時に自宅から持ち出す災害携行袋に大事に入れてある。一期一会と言うが、マニラでの、そしてADBでの3年間は、1つ1つの出会いがスライドになって私の頭に入っている。年を取ると人の名前は忘れるかもしれない。でも一瞬一瞬の映像は、生きている限り私の豆腐の中で輝きを失わない。最後に、アニメ動画の中でスタッフが描いてくれた私のキング似顔絵をお見せする。みんなのお蔭で楽になった私である。なんて和やかな顔に描いてくれたのだろう。ありがとう。(次号に続く) ファイナンス 2020 May.35新・エイゴは、辛いよ。SPOT

元のページ  ../index.html#39

このブックを見る