ファイナンス 2020年5月号 No.654
19/84

5審査請求の状況(1)発生の状況国税不服審判所が発足した昭和45年5月から平成30年度までの審査請求事件の発生件数は、265,989件となっている。昭和45年5月から昭和46年3月まで(昭和45年度)の発生件数は4,866件であったが、昭和49年度には、1万件に及ぶサラリーマン減税関係事案が発生したため、発生件数が大幅に増加し、昭和50年度には発足以来最高の14,553件まで増加した。その後、サラリーマン減税関係事案の大幅な減少もあり発生件数は徐々に減少し、平成26年度には2,030件と発足以来最低の件数まで減少したが、平成28年4月の国税通則法の改正に伴い、直接審査請求することができるようになった影響で増加に転じ、平成30年度には3,104件と、6年ぶりに3,000件台となった(直近10年の発生状況は図表4参照)。(2)処理の状況国税不服審判所が発足した昭和45年5月から平成30年度までの審査請求事件の処理件数は、268,865件(協議団から引き継いだ事件の処理を含む。)となっている。発足当初の昭和45、46年度は、発足に伴う体制整備などに日時を要したものの、これまでおおむね発生件数に見合う程度の件数を処理している。発足以来の処理件数を処理区分別に見てみると、納税者の主張が何らかの形で認められた全部又は一部の「認容」が29,780件(構成割合11.1%)、納税者の主張が認められなかった「棄却」が197,528件(同73.5%)、審査請求が不適法であった「却下」が21,364件(同7.9%)、審査請求を取り下げられたものが20,193件(同7.5%)となっている。なお、年度ごとの全部又は一部認容の処理全体に占める割合(いわゆる「認容割合」)は、発足当初約45%であったがその後減少し、平成元年度以降は、おおむね10%前後で推移している(直近10年の処理状況は図表5参照)。(3)裁決事例の公表国税不服審判所は、先例となるような裁決やいわゆる取消裁決を四半期ごとに国税不服審判所ホームページにおいて公表している。公表に際しては、裁決事例ごとに参考裁判例を付記するなどして利便性の向上に努めている。6おわりに国税不服審判所では、経済活動の国際化や広域化、ICT化の進展など、国税不服審判所を取り巻く社会や環境の変化を踏まえ、これまで、様々な取組を行ってきたところである。この50周年という節目の年に、第20代の国税不服審判所長として東亜由美所長をこの4月に迎え、東所長の下、今後も、国民からの更なる信頼と評価が得られるよう、これまでに築かれた良き伝統を守りながら、「半世紀 変わらぬ使命 これからも」(国税不服審判所設立50周年に係るキャッチフレーズ)、より一層適正かつ迅速な裁決の実現を目指して、努力と工夫を重ねていく所存である。これまでの取組状況や設立50周年記念行事・特集記事などについて、順次国税不服審判所ホームページ(https://www.kfs.go.jp)に掲載するので、ご覧いただきたい。Web会議システムによる打合せの様子(写真左:東所長) ファイナンス 2020 May.15国税不服審判所の50年SPOT

元のページ  ../index.html#19

このブックを見る