ファイナンス 2020年4月号 No.653
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各地の話題国内初の内陸地税関を生んだ街 京都市大阪税関京都税関支署統括監視官浴 康一1はじめに京都税関支署は、伝統産業と先端技術産業が共存する千年の都「京都」を中心とした京丹波町及び南丹市以南の京都府(以北は舞鶴税関支署が管轄)及び全国有数の工業県である滋賀県を管轄する支署であり、管内には支署出張所として、滋賀出張所があります。当支署で通関される主要品目は、輸出では管内に先端技術を駆使する分野で高いシェアを持つ大手企業が所在することから分析計測機器、半導体等電子部品などが、輸入では絹織物を初めとする和装品にかかる伝統産業が多く訪問着、振袖等の仕上げ加工された製品、刺繍加工された絹帯等の和装関連商品が主流となっています。管内の外国貨物を取り扱う保税蔵置場の多くは当支署から10~20キロメートルの距離に位置する京都市南部に集中しています。この地域は、大動脈である名神高速道路、国道1号線及び京滋バイパス、京都縦貫道路、第2京阪道路、京奈和自動車道などが、接続する形で交通網が整備され、同地域は大型倉庫が集約されるなど物流拠点となっています。2国内初の内陸地税関誕生明治以降、内陸地における京都の貿易振興策は大きく3つに分けられ、(1)絹織物を中心に陶器、貴金属工芸等伝統産業品の輸出、(2)海外博覧会、見本市等に対する積極的な出品、(3)観光都市である京都の特徴を生かした観光・国際会議等のために入洛する外国人を対象とするホテルや土産品屋等が展開され、海に沿わない内陸地である京都においても税関需要が発生していました。そうした中、明治34年、当時、全国には海沿いにしか税関の管轄区域がありませんでしたが、管轄区域外である山城国の京都市内から内陸地としては全国に先駆けて私設保税倉庫の出願があったことから、急遽同年8月26日勅令第171号によって大阪税関の管轄に山城国を加えることとなり、大正6年6月に各税関の管轄区域を府県単位と改めて国内全体を管轄区分するまでの約16年間にわたって、山城国は唯一例外の内陸地税関管轄地となりました。以降、有力市民による絹製品、伝統工芸品等の輸出商品の生産都市としての努力を重ね輸出産業の振興を図った結果、当時輸送は国鉄により大阪港、神戸港へ運ばれていたことから、大正11年2月1日貨物専用駅である梅小路駅に、内陸地税関官署全国第1号として梅小路駅出張所が設置されました。当時の取扱品目は、輸出は古新聞、白木綿、仏具、京都市【図(1)】管轄区域 ファイナンス 2020 Apr.73連載各地の話題

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