ファイナンス 2020年4月号 No.653
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雪国の生活のヒント家で滞在することにより、新しい何かが創造されるかもしれません。新潟では、経験のない少雪でイベントが中止になるなど、観光業界等が苦境に立たされた今冬から引き続きの危機、という厳しい状況です。ただ、雪深い地にある名湯で名高い温泉街の方から、かつて除雪がこなかったので冬は営業できなかった、厳しいときも工夫しながら耐えるしかない、というお話を聞いて、ハッとしました。これをきっかけに、江戸時代後期の雪国(越後魚沼)の生活の様子を記した鈴木牧之の『北越雪譜』をめくってみました。臨場感ある挿絵が随所に描かれている著作です。半年は雪の中にこもる生活、そのための食料の準備、向かいの家に行くために雪のトンネルを掘る様子や、孫を母方の親に見せに天気が穏やかな日に出かけたところ、突然の吹雪に遭い夫婦とも手を握り合いながら凍死、赤ちゃんは母に包まれ生存した出来事など、江戸等と比較した雪国の生活が記されています。環境が厳しくても慌てたり誰かを恨んだりせず、人間の英知と協力で乗り切る、という点で雪国の先人達の暮らしやその精神は大いに参考になると感じている今日この頃です。 ファイナンス 2020 Apr.47ニイ「ガタ」、「トキ」、書いてみませんか?連載ニイ「ガタ」、「トキ」、書いてみませんか?

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