に基づき算出されています。日本国債市場と関係が深いVIXとしては、日本国債先物オプションのIVを利用して算出した日本国債VIX指数が存在します。２.３．HVとIVの特徴IVが優れている点は、前述のとおり、オプション価格には市場参加者による将来の予想が反映される点です。先ほどの事例のようにもし仮に月末にこれまでに経験のないようなイベントがある場合は、その保険に相当するオプションの需要が増えますから、オプションの価格（IV）が上昇します。また、投資家はHVの動きをみることができるため、その情報を用いてオプションの取引をすることができるわけですから、原理的にはIVはHVの情報も含むことになります。もっとも、IVがHVに比べて常に優れているわけではありません。事実、金融機関のリスク管理の現場ではHVを利用するケースが少なくありません。HVの場合、国債や株式などの価格データさえ得られればリスク量を算出することができます。その一方、オプションの場合、そもそも市場がないことが多いですし、たとえ市場があったとしても流動性があるとは限りません。例えば、日本国債現物のオプションについては店頭市場で証券会社がマーケット・メイクをしていますが、先物などに比べ流動性が低いだけでなく、Bloombergなどを用いてもその価格を取得することはできません。すなわち、多くの資産を有する金融機関等がリスク管理を行う場合、HVを使わざるを得ないのです。3日本国債先物オプション３.１．制度の詳細国債先物オプションとは、前述のとおり、月末まで特定の価格で国債先物を購入する（売却する）権利になりますが、国債先物と同様、日本取引所グループに上場しています。例えば、証拠金や限月の存在、取引時間など国債先物と同様の制度設計がとられています（国債先物の詳細は服部（2020a,b）を参照してくだ＊14） 国債先物オプションの場合、国債先物とは異なり、限月間スプレッド取引の板は存在していません。＊15） ここでは例を含めてJPXのサイトを参照しています。詳細はhttps://www.jpx.co.jp/derivatives/products/jgb/jgbf-options/04.htmlなどを参照してください。＊16） ちなみに、日経225オプションはヨーロピアン・タイプです。また、オプションの行使のタイミングが一定期間ごとに設定されるオプションをバミューダ・タイプのオプションといいます。＊17） 仮に日本国債先物オプションが行使された場合、権利行使の割当ては、各取引参加者等の権利行使が行われた銘柄の売建玉を取引単位ごとに細分化してランダムに抽選する方法により行われます。詳細はJPXのサイトを参照してください。さい）。国債先物オプションについては1か月刻みで限月が設定されており、例えば2020年4月の場合、5月限、6月限、9月限が上場していますが、満期が近いオプションが売買される傾向があります＊14。国債先物オプションの特徴は、行使価格（国債先物を購入できる価格）毎に上場している点です＊15。具体的には中心となる価格に対して上下10種類ずつ、合計21種類の行使価格が設定されます（例えば行使価格が145円00銭、145円50銭などのように50銭刻みでオプションが設定され、それぞれ上場します）。中心となる行使価格は取引開始日の前営業日の先物価格に最も近い価格がベースになります（この価格をATM（At The Money）ということもあります）。決済については、権利行使日の取引終了時刻（15時15分）に先物取引を成立させることなどで行います。オプション取引には満期日のみ行使可能である「ヨーロピアン・タイプ」といつでも行使可能な「アメリカン・タイプ」がありますが、国債先物オプションはアメリカン・タイプのオプションとなっている点も特徴です＊16。国債先物オプションを買った投資家は月末まで好きなタイミングで行使することができますが、実際には満期前に行使することはほとんどありません＊17。事実上、ヨーロピアン・タイプのオプションとして取引されていると解釈する実務家もいます。日本国債先物オプションの（1日あたりの）取引高は1990年以降、平均7000枚弱であり、日本国債先物に比べれば相対的に少ないものの、市場参加者からは円金利オプションとして最も流動性が高いと評価されています。行使価格別でみたオプションの売買についてはATM周辺が多く、ATMから離れるほど建玉が低下する傾向にあります。３.２．S&P/JPX 日本国債VIXもっとも、オプションから算出した金利リスク量を中長期で把握したい場合、国債先物オプションそのものは限月交代のたびにデータをつなぐ必要がありますし、行使価格が50銭刻みであることに係る調整も必 ファイナンス 2020 Apr.41国債先物オプション入門ＳＰＯＴ
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