ファイナンス 2020年4月号 No.653
35/86

に関する残された課題を特定するとともに、それらに対処する方法を模索することを求める。11.我々は、技術革新は、金融システム及びより広く経済に重要な便益をもたらし得るという我々の見解を再確認し、デジタル時代における規制・監督上の課題の枠組みを構築する取組を支持する。そのため、我々は、BigTechの金融分野への進出の高まりに関連したインプリケーションを検討するために、関連する各金融規制基準設定主体も関与させながら、FSBの地域諮問グループを活用する包摂的なアプローチを歓迎する。我々はまた、FSBに、技術が可能とする規制・監督上の解決策(RegTechやSupTech)への異なるアプローチについて報告することを要請する。我々は、金融安定、消費者及び投資家保護、マネーロンダリング及びテロ資金供与への対策、及び通貨主権に係る問題などマクロ経済上のインプリケーションに関するリスクを含め、金融技術革新に伴う潜在的なリスクに引き続き警戒を続ける。2019年の首脳宣言を基礎として、我々は、最近採択された仮想資産や関連業者に対する金融活動作業部会(FATF)基準を実施するよう各国に促す。我々は、リスクはサービス開始前に吟味され、適切に対処される必要があるとした、所謂‘グローバル・ステーブルコイン’とその他の類似の取組に関する2019年10月の声明を再確認し、これらの取組に関する規制上の提言を作成するFSBの取組を支持する。このため、我々は、FSB、IMF、そしてFATFの報告を期待し、また、マネーロンダリング及びテロ資金供与への対策の基準を適用するとのFATFの声明を歓迎する。我々は、送金を含む、より安価で、迅速な資金移動を促進するよう、グローバルなクロスボーダー決済を改善する必要性を認識する。我々は、FSBに、決済・市場インフラ委員会(CPMI)やその他の関係基準設定主体や国際機関と協調して、2020年10月までに、グローバルなクロスボーダー決済を改善するためのロードマップを作成することを要請する。4その他のトピックEnhancing Access to Opportunities for All(全ての人々の機会へのアクセス向上)や国内資本市場の発展、インフラ技術の活用をはじめとする、議長国サウジアラビアの優先議題についても、取組を進めることが合意された。また、昨年、日本議長下のG20で取り上げたアジェンダについても、継続的に議論がなされた。具体的には、日本議長下で承認された「質の高いインフラ投資に関するG20原則」において示されているG20の戦略的方向性と高い志に向けた取組を前進させることとした。また、債務の透明性及び持続可能性について、債務者及び公的・民間の債権者双方による協働の重要性を再確認するとともに、債務脆弱性に対処するための更なる取組を奨励した。(参考) 20か国財務大臣・中央銀行総裁会議声明 (仮訳)(抜粋)4.インフラは経済の成長と繁栄の原動力であり、それは技術を通じてさらに高められ得る。インフラにおけるより幅広い技術の活用がもたらす潜在的な便益は大きい。それは、ライフサイクルを通じた投資の意思決定を改善し、インフラ・プロジェクトの価格に見合った価値を高め、社会、経済、環境面でよりよい成果をもたらすよう、質の高いインフラを建設、運営、維持管理する際の効率性を向上させる。我々は、インフラにおける技術の活用を後押しするため、インフラ技術(インフラテック)のアジェンダを策定することに合意する。我々は、これまでのコミットメントと努力を再確認するとともに、「質の高いインフラ投資に関するG20原則」において示されている我々の戦略的方向性と高い志に向けた取組を前進させる。我々はまた、インフラ投資における民間部門の参加のための規制枠組みに焦点を当てることを含め、「投資対象としてのインフラに向けたロードマップ」の実施を引き続き前進させていく。7.我々は、債務の透明性及び持続可能性を向上させるための、債務者及び公的・民間の債権者双方による協働の重要性を再確認するとともに、債務脆弱性に対処するための更なる取組を奨励する。 ファイナンス 2020 Apr.31G20財務大臣・中央銀行総裁会議の概要SPOT

元のページ  ../index.html#35

このブックを見る