ファイナンス 2020年4月号 No.653
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包摂的枠組み」が2020年7月までに合意することの重要性を強調する。我々は、この作業を完了し税の安定性を確保するための国際協力の重要性を再確認する。我々は、国際的に合意された税の透明性基準の実施に係る進捗を歓迎する。我々は、その基準を満足に実施していない法域の更新されたG20/OECDによるリストに留意する。リストに載った法域に対しては、防御的措置が検討される。我々は、「税に関する協働のためのプラットフォーム(PCT)」を通じた協調を含む、開発途上国における税に関する能力構築を引き続き支持する。我々は、全ての法域に対し多国間税務行政執行共助条約に署名及び批准するよう求める。3金融セクター関連今回のG20では、金融セクター関連の課題についてもいくつか重要な合意がなされた。まず、昨年10月のG20プレスリリースでも取り上げられたグローバル・ステーブルコイン等をはじめとする金融技術革新について、金融安定、消費者及び投資家保護、マネーロンダリング及びテロ資金供与への対策、及び通貨主権に係る問題等マクロ経済上のインプリケーションに関するリスクを含め、潜在的なリスクに引き続き警戒を続けることが表明された。その上で、より安価で、迅速な資金移動を促進するよう、送金を含むグローバルなクロスボーダー決済を改善する必要があるとの認識を共有した。また、LIBORからの円滑な移行の必要性や、金融市場の分断等への対処の継続にも言及がなされた。(参考) 20か国財務大臣・中央銀行総裁会議声明 (仮訳)(抜粋)9.合意された国際基準に基づく、開かれた、強靭な金融システムは、持続可能な成長を支えるために極めて重要である。我々は、合意された金融規制改革の完全、適時かつ整合的な実施に引き続きコミットしている。我々は、これらの規制改革の影響を引き続き評価し、「大き過ぎて潰せない」問題に対する改革の影響についてのFSBによる評価を期待する。我々は、ノンバンク金融仲介に関するものを含め、金融安定性に対する脆弱性と生じつつあるリスクについて、引き続き特定し、注視し、必要に応じ対処する。状況に応じ、マクロ・プルーデンス政策はツールキットの一部になりうる。我々は、規制・監督上の協力等により、意図せざる、悪影響をもたらす市場の分断に対処するべく、引き続き取り組む。我々はまた、サイバーの強靭性を高める努力を続け、サイバー攻撃への対応や復旧のための効果的な取組に関するFSBのツールキットを期待する。我々は、コルレス銀行関係の解消の原因及び結果と、銀行サービスへの送金業者のアクセスにかかる課題について、引き続き監視し、対処する。サステナブル・ファイナンスの動員、及び金融包摂の強化は、世界の成長と安定にとって重要である。FSBは気候変動が金融安定に与えるインプリケーションの調査を行っている。我々は、こうした分野における民間部門の参加と透明性を歓迎する。10.我々は、市場が2021年末より前にLIBORから代替参照金利に移行する必要があることを強調する。したがって、広く利用されているLIBOR指標の見込まれている公表停止に対する関係者の準備が不十分であった場合に生じうるリスクを考慮すれば、この移行を成し遂げるため、公的部門による支援の下、民間部門による緊急の取組が必要である。この移行までに残された時間の短さを考慮すれば、潜在的な金融安定リスクに対処するため、2020年中に大きな進捗が必要である。我々は、FSBに対し、2020年7月までに指標の移行30 ファイナンス 2020 Apr.SPOT

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