ファイナンス 2020年4月号 No.653
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1. 令和2年度予算編成の基本的な 考え方令和2年度の防衛関係費は、平成30年12月18日の国家安全保障会議及び閣議において決定された「平成31年度以降に係る防衛計画の大綱について」及び「中期防衛力整備計画(平成31年度~平成35年度)について」(以下「中期防」という。)等に基づき編成を行い、国土強靱化のための3か年緊急対策における「臨時・特別の措置」*1508億円を含め、全体で5兆3,133億円(対前年度比+1.1%)を計上している。このうち、SACO関係経費*2、米軍再編関係経費*3、「臨時・特別の措置」等を除く中期防対象経費については、中期防を踏まえ実質+1.1%の伸びとし、消費税影響分も含め、5兆688億円(対前年度比+1.2%)を措置している。(図表1:防衛関係予算の推移)中期防対象経費については、宇宙・サイバー・電磁波といった新たな領域における能力の強化など、多次元統合防衛力の構築を推進するとともに、原価の精査、仕様の見直し等の装備調達の最適化や、重要度の低下したプロジェクトの見直しを徹底している。また、新規後年度負担については、将来における予算の硬直化を招かないよう総額を抑制しつつ、2兆5,633億円(対前年度比▲0.6%)を計上しており、このうち、中期防対象経費は、中期防で規定された新規契約額の上限(17兆1,700億円程度)を踏まえつつ、*1) 「臨時・特別の措置」は、防災・減災、国土強靱化のため時限を区切って省庁横断的に措置されるものであることから、中期防の枠外と位置付け、その内容を同措置の趣旨に適合したものに限定している(後掲)。*2) SACO関係経費とは、沖縄に関する特別行動委員会(SACO:Special Action Committee on Okinawa)最終報告(平成8年12月2日)に盛り込まれた措置を実施するために必要な経費を指す。*3) 米軍再編関係経費とは、「在日米軍の兵力構成見直し等に関する政府の取組について」(平成18年5月30日閣議決定)及び「平成22年5月28日に日米安全保障協議委員会において承認された事項に関する当面の政府の取組について」(平成22年5月28日閣議決定)に基づく再編関連措置のうち、地元の負担軽減に資する措置を実施するために必要な経費を指す。*4) 予算額は(4)を除き契約額ベース。なお、初度費(専用治工具費や初度設計費等)は含まない。防衛力整備の効率化・合理化を徹底し、2兆4,050億円(対前年度比+0.2%)を措置している。(図表2:新規後年度負担額の推移)2.令和2年度予算における主要事業令和2年度予算では、防衛力の整備等に必要な事業を着実に推進しているところ、その主な内容は以下の通りである。*4(図表3:自衛隊の能力等に関する主要事業)(1)新たな領域における能力の獲得・強化領域横断作戦を実現するため、優先的な資源配分や我が国の優れた科学技術の活用により、宇宙・サイバー・電磁波といった新たな領域における能力を獲得・強化する。ア 宇宙領域における能力強化○ 宇宙作戦隊(仮称)等の体制整備・我が国の宇宙利用の優位を確保するため、宇宙状況監視(SSA:Space Situational Awareness)等を行う部隊として、航空自衛隊に宇宙作戦隊(仮称)を新編(約20名の定員)。○ 宇宙空間の安定的利用を確保するための取組・静止衛星軌道上にあるXバンド防衛通信衛星等の周辺を飛しょうするデブリや不明物体の特性を把握す令和2年度 防衛関係費について主計局主計官 岩佐 理 ファイナンス 2020 Apr.21特 集

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