ファイナンス 2020年4月号 No.653
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一般会計予算1.基本的考え方令和2年度の公共事業関係予算については、「令和2年度予算の編成等に関する建議」(令和元年11月25日、財政制度等審議会・財政制度分科会)も踏まえ、主に以下のような考え方により、編成を行った。○ 「量」から「質」への転換を図ることがあらゆる分野で求められている。社会資本整備についても例外ではない。公共事業関係費の規模(臨時・特別の措置を除く)はピーク時に比して当初予算ベースで4割減、補正予算後で半減の水準となっている。しかしながら、一般政府の総固定資本形成(対GDP比)は、主要先進国との比較で、引き続き高い水準にある。また、人口減少が進む中で、社会資本ストック(以下「ストック」という)の人口一人あたり維持更新コストはより一層の増加が見込まれ、ストックの利用者や維持・整備の担い手の減少も見込まれている。こうしたことなどを考慮すれば、いたずらに「量」を拡大する状況にはない。○ 台風や集中豪雨による深刻な被害など、大規模な災害が続き、堤防やダム等のハード面での対策を求める声がある。ただし、国民の生命・財産を真に実効的に守るためには、ハード整備だけではなく、円滑な避難の確保はもとより、土地の利用規制、都市計画など、土地利用等の在り方にまで踏み込んだソフト面での対応も必要であることを忘れてはならない。○ こうした状況を踏まえると、今後の社会資本整備に当たっては、・ 「使い方」の改善によりストック効果を最大化するとともに、ストックの再編・集約や長寿命化を進め維持更新コストを最小化すること・ これまで公費で賄っていたストックの維持・整備に料金収入等を活用することにより、公費を料金収入等では賄い得ないストックに重点化していくこと・ イノベーションを活用して、維持・整備を省力化・スマート化していくことが重要である。具体的には、公共事業関係費の安定的な確保を行いつつ、(1)治水対策を中心とした防災・減災対策等の強化(2)老朽化対策の見通し・強化(3)安全・安心の確保(4)中長期的な成長の基盤となるインフラの整備等に重点的に取り組むこととした。2.総額の水準令和2年度の公共事業関係費の一般会計予算(臨時・特別の措置を除いた通常分)は、令和元年10月の消費税率引上げによる影響額(46億円)を含め前年度比+73億円(+0.1%)の6兆669億円となっている。このほか、令和2年度の「臨時・特別の措置」を活用し、「防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策」として必要な対応を実施するため、7,902億円を計上している。令和2年度 国土交通・公共事業関係予算について主計局主計官 中島 朗洋 ファイナンス 2020 Apr.15特 集

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