ファイナンス 2020年3月号 Vol.55 No.12
81/84

各地の話題課題が生じるとともに、医療の進歩や患者の動向などを踏まえて、新病院を整備する必要が生じていました。また、同時期にさいたま赤十字病院も耐震改修工事を行う必要が生じていたため、埼玉県の主導で両病院を隣接して建設することとし、平成24年3月に「埼玉県立小児医療センター施設整備基本計画」が策定され、全国有数の総合母子医療センター機能の整備、小児救急救命機能の飛躍的向上及び小児医療の地域医療機関との協力体制を強化するために新病院の建設が進められました。≪埼玉県立小児医療センター≫3新病院の概要がんセンターは、平成25年12月に開院し、病床数は503床、診療科は23科を有しています。平成30年度の手術件数は3,481件、延べ入院患者数は134,049人となっており、最近では、遺伝子を解析し、遺伝子変異に応じた抗がん剤治療を行う「がんゲノム医療」を推進しています。小児医療センターは、平成28年12月に開院し、病床数は316床、診療科は29科を有しています。「小児がん拠点病院」の指定を受けており、白血病など血液のがんで受診される患者数は日本最多となっており、平成30年度の小児がん患者診療実績は1,297人となっています。また、さいたま赤十字病院(病床数638床)と隣接しているメリットを活かして、同一階で母体・新生児のあらゆる疾患に対応できる周産期医療を行う「総合周産期母子医療センター」の指定を受けています。最近では2施設連携により小児生体肝移植、新生児生体肝移植などの生体肝移植医療を行う体制も整っています。その他にも店舗・食堂等各種施設の共同利用が行われるなど、連携が図られています。事業団体埼玉県貸付対象事業病院事業事業内容小児医療センター及びがんセンターの建設総事業費小児医療センター約375億円がんセンター約222億円財政融資資金貸付額小児医療センター約22億円がんセンター約25億円≪埼玉県立小児医療センターの内部≫4おわりに関東財務局では、今回ご紹介したように、地域医療連携の充実といった地域住民の生活に大きく関わる事業に財政融資資金を供給しています。さらに、大規模施設の建設事業だけではなく、地域の活性化を図るための観光施設整備や、過疎地域における交通の利便性向上のためのバスターミナル整備といった事業にも財政融資資金の供給を行っており、幅広い分野で地域に貢献しています。また、地方公共団体と日常的に接するという業務の特性上、地方公共団体の行政上の課題に接することや様々な相談を受けることがあります。そのため、関東財務局では、近年、地方公共団体と他省庁との橋渡しや、有識者を招いたセミナーを開催して、地方公共団体に有益と思われる情報提供を行うといったことも行っています。今後とも財政融資資金業務を通じ、地域の実情やニーズをきめ細かく把握しながら、地域連携の強化を図っていきたいと考えています。 ファイナンス 2020 Mar.77連載各地の話題

元のページ  ../index.html#81

このブックを見る