ファイナンス 2020年3月号 Vol.55 No.12
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1はじめに埼玉県は首都圏の中央に位置し、東西に約103km、南北に約52km、面積はおよそ3,800km2で、山地面積がおよそ3分の1、残りの3分の2を平地が占めています。6つの高速道路や6つの新幹線などにより東日本の各都市と結ばれています。また、全国的に人口減少が進む中、現在も人口が増加している県であり、人口は約733万人(平成30年10月現在)と、全国第5位の県となっています。しかしながら、東京都と接する県の南部地域では、人口が増加している一方、北部地域や西部の山あいの地域では人口が減少しているといった特徴も見られます。そのため、医療の場においても、地域ごとの人口動向やニーズの変化を踏まえた医療サービスの提供のあり方が課題となっています。2地域医療連携の充実埼玉県には、4つの県立病院(「がんセンター」、「小児医療センター」、「循環器・呼吸器病センター」及び「精神医療センター」)があり、県内の高度・専門・特殊医療機関として、地域医療機関を支援する急性期の医療機能を担っています。埼玉県は、中長期的には、若い世代の人口が減少し、高齢化が進むと見込まれていることから、これからの県立病院には、時代の変化に対応しつつ、地域医療連携による医療水準の向上、民間病院等では困難な高度・専門的な医療の提供及び県民ニーズに合った医療の提供をしていくことが求められています。しかしながら、一部の県立病院では、施設の老朽化などの問題を抱えており、地域医療連携の強化や医療の高度化に対応するために、施設の更新を行うこととし、がんセンター及び小児医療センターについては、財政融資資金を活用した新病院の建設事業が行われました。【埼玉県立がんセンター】埼玉県立がんセンターは、昭和50年11月に埼玉県の中核的ながん専門病院として、病床数100床で発足し、平成10年までに増改築工事を実施して400床まで増床しました。その後、経年劣化が進む中、経営改善を優先して耐震補強や建替えは休止されていましたが、平成21年3月に「埼玉県立がんセンター施設整備基本計画」が策定され、新病院の建設が進められました。新病院は、埼玉県のがん診療連携拠点病院として、県内のがん医療の向上を図ることなどを目的とし、紹介患者の受入体制の構築など、地域医療の支援と医療連携の強化が図られています。≪埼玉県立がんセンター≫【埼玉県立小児医療センター】埼玉県立小児医療センターは、昭和58年4月に開院しました。築年数が経過する中で、耐震性の問題が顕在化したほか、新生児集中治療室が不足するなどの埼玉県の地域医療連携について~財政融資資金の活用による連携強化~関東財務局理財部融資課調査官道岡 健吾埼玉県76 ファイナンス 2020 Mar.連載各地の話題

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