ファイナンス 2020年3月号 Vol.55 No.12
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あれば常用従業員の方が臨時職員やパート職員よりもが多いことが考えられるが、労働生産性はこの点は明らかではない。図4(平均値)、図5(中央値)は従業員だけをカウントしたが、参考までに、従業員に役員を含めた上で、企業規模と労働生産性の関係を確認した。その理由は、(1)小規模企業であればあるほど、従業員と役員の職務の区別をつけていない可能性が考えられること、(2)上記で示した労働生産性の算式の分子に含まれる付加価値額に、役員給与等が含められていること、があるためである。その結果が、図6(平均値)、図7(中央値)である。図6(平均値)は役員数と従業員数を合わせた数を企業規模としたものだが、従業員数のみをカウントした図4と同様の傾向を示している。図7(中央値)は、従業員数だけをカウントした図5に比べ、製造業は規模が大きくなるほど労働生産性が高くなる傾向がある。一方、サービス業は、図5と同様に250人以上になると労働生産性がやや下がる結果となっている。(3)労働生産性と賃金の関係最後に、労働生産性と賃金の関係を確認したものが図8(平均値)と図9(中央値)である。どちらの図も、労働生産性が高いほど賃金が高くなっている。図6 企業規模と労働生産性(平均値)役員含む4,0006,0008,00010,00012,00016,00014,00018,000(千円)(出所)法人企業統計製造業サービス業L1-4L5-9L10-19L20-49L50-99L100-249L250-499L500+図4 企業規模と労働生産性(平均値)5,00010,00015,00020,00025,00030,00035,000(千円)(出所)法人企業統計製造業サービス業L1-4L5-9L10-19L20-49L50-99L100-249L250-499L500+図7 企業規模と労働生産性(中央値)役員含む3,0004,0005,0006,0007,0009,00010,0008,00011,000(千円)(出所)法人企業統計製造業サービス業L1-4L5-9L10-19L20-49L50-99L100-249L250-499L500+図5 企業規模と労働生産性(中央値)5,0006,0007,0008,0009,00010,00011,000(千円)(出所)法人企業統計製造業サービス業L1-4L5-9L10-19L20-49L50-99L100-249L250-499L500+図8 労働生産性と賃金(平均値)1,0002,0003,0004,0005,0006,0007,0008,000(千円)(出所)法人企業統計製造業サービス業p0-p10p10-p40p40-p60p60-p90p90-p100図9 労働生産性と賃金(中央値)1,0002,0003,0004,0005,0006,0007,0008,000(千円)(出所)法人企業統計製造業サービス業p0-p10p10-p40p40-p60p60-p90p90-p100 ファイナンス 2020 Mar.67シリーズ 日本経済を考える 98連載日本経済を 考える

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