ファイナンス 2020年3月号 Vol.55 No.12
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表3の記述統計量の説明でも言及したように、10人未満の企業規模群に含まれる特定個社の特徴が結果に大きく影響を与えている可能性がある*13。そのため、企業規模ごとの中央値をとったものが図5である。図5(中央値)の製造業をみると、労働生産性は企業規模が10人以上20人未満をボトムに、企業規模が大きいほど労働生産性が高くなる傾向にある。次に、図5(中央値)にあるサービス業を確認すると、5人以上10人未満規模をボトムに、250人未満*13) データの両端0.05%を捨象した平均をとったところ、特に従業員数が1~4人の区分と5~9人の区分の労働生産性が低くなったため、外れ値の影響があることは確認できた。までは企業規模が大きいほど労働生産性が高まっている。また、250人未満までは製造業よりも労働生産性が高くなっている。しかし、250人以上になると労働生産性がやや下がり、労働生産性の水準はサービス業の方が製造業よりも低くなっている。従業員数が250人以上になるとサービス業の労働生産性水準が低下する理由は、図1でもみられたように、500人以上の規模では卸売業よりも労働生産性が低い小売業の割合が多いことが考えらえる。なお、前述のとおり、賃金で図2 企業規模と賃金(平均値)2,0002,5003,0003,5004,0004,5005,0005,5006,0006,500(千円)(出所)法人企業統計製造業サービス業L1-4L5-9L10-19L20-49L50-99L100-249L250-499L500+図3 企業規模と賃金(中央値)2,0002,5003,0003,5004,0004,5005,0005,5006,0006,500(千円)(出所)法人企業統計製造業サービス業L1-4L5-9L10-19L20-49L50-99L100-249L250-499L500+表3 2018年度の法人企業統計の企業規模別の記述統計量企業数賃金(千円)労働生産性(千円)製造業サービス業製造業+サービス業製造業+サービス業平均値中央値標準偏差平均値中央値標準偏差L1-45721,1693,2982,6673,34528,9406,500430,925L5-93367363,8153,4002,43110,6516,00039,368L10-195068483,9593,6262,2379,3176,17917,649L20-498701,3064,2193,9662,1268,4996,30913,316L50-998011,1104,6254,3812,3189,4847,2129,572L100-2491,2861,3814,9194,7352,07510,0438,1889,818L250-4999058605,1325,0931,8159,9768,5418,054L500+1,3371,4985,4055,4212,16211,1638,98014,461合計6,6138,9084,5554,3472,41212,0537,555145,217図1 サービス業の企業規模別の産業分布卸売業小売業情報通信業運輸業、郵便業0%10%20%30%40%50%60%70%80%90%100%L500+L250-499L100-249L50-99L20-49L10-19L5-9L1-4卸売業物品賃貸業職業紹介・労働者派遣業生活関連サービス業広告業その他のサービス業小売業情報通信業運輸業、郵便業宿泊業、飲食サービス業その他の学術研究、専門・技術サービス業66 ファイナンス 2020 Mar.連載日本経済を 考える

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