ファイナンス 2020年3月号 Vol.55 No.12
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数」に基づき、先行研究であるBerlingieri et al.(2018)と同様の8つに区分した*5。(1)1~4人(以下、「L1-4」と表示)(2)5~9人(「L5-9」)(3)10~19人(「L10-19」)(4)20~49人(「L20-49」)(5)50~99人(「L50-99」)(6)100~249人(「L100-249」)(7)250~499人(「L250-499」)(8)500人以上(「L500+」)(4)従業員給与常用、臨時を問わず、役員以外の者に対して当該事業年度に計上した給料、労務費、手当及び賃金等(所得税・保険料等控除前)の総額である*6。(5)従業員賞与常用、臨時を問わず、役員以外の者に対して当該事業年度に計上した賞与(所得税・保険料等控除前、賞与引当金繰入額を含む。)の総額である*7。(6)賃金本稿で示す賃金は、従業員については「従業員給与」と「従業員賞与」を合わせた額を用いている*8。以下、特に断りがない場合は「従業員数」で除した従業員一人当たりの年間の賃金として扱う。*5) 中小企業基本法によれば、従業員数をベースにした中小企業の規模は以下の表のようになっている。この分類に基づいた規模の区分も可能だが、本稿はBerlingieri et al. (2018)との比較可能性も考慮して、上記で整理した8つの区分を用いる。 表 中小企業基本法における中小企業の規模業種中小企業うち小規模事業者資本金従業員従業員製造業その他3億円以下300人以下20人以下卸売業1億円以下100人以下5人以下サービス業5,000万円以下100人以下5人以下小売業5,000万円以下50人以下5人以下(注)「従業員数」は「常時使用する従業員の数」となっている(中小企業基本法第2条第1項)(出所)『2019年版 中小企業白書』に基づき作成。*6) 『平成30年度 法人企業統計調査 記入要領』(金融業、保険業以外の法人用)p.15。*7) 『平成30年度 法人企業統計調査 記入要領』(金融業、保険業以外の法人用)p.15。*8) 賃金は、労働基準法第11条において「賃金とは、賃金、給料、手当、賞与その他名称の如何を問わず、労働の対償として使用者が労働者に支払うすべてのものをいう」と定められていることから、本稿では「従業員給与」と「従業員賞与」を賃金と称した。なお、法人企業統計には、「福利厚生費」があるが、これに計上されている金額は役員と従業員を合わせた総額となっている。本稿では従業員により着目するため、福利厚生費は賃金には含めていない。*9) 『財政金融統計月報』(法人企業統計年報特集(平成29年度))第798号, p.5。*10) 法人企業統計による区分ではサービス業を宿泊業、飲食サービス業、生活関連サービス業、娯楽業、広告業、純粋持株会社、その他の学術研究、専門・技術サービス業、医療、福祉業、職業紹介・労働者派遣業、その他のサービス業と定義しているが、本稿はBerlingieri et al.(2018)との比較可能性も考慮して、上記で整理した業種を用いる。(7)労働生産性の算出方法法人企業統計では、以下の労働生産性の算出式を用いている*9。労働生産性=付加価値額*/従業員数* 付加価値額= 人件費+支払利息等+動産・不動産賃借料+租税公課+営業純益(営業利益-支払利息等)(人件費= 役員給与+役員賞与+従業員給与+従業員賞与 +福利厚生費)(8)労働生産性の区分Berlingieri et al.(2018)に従い、製造業及びサービス業の労働生産性を低い順に並べた後、以下のとおり5つの水準別に分けた。第1分位 p0-p10第2分位 p10-p40第3分位 p40-p60第4分位 p60-p90第5分位 p90-p100(9)産業分類Berlingieri et al.(2018)の脚注2の説明に基づき、法人企業統計の非製造業から、表1のように「サービス業」を分けた*10。2.3 用いたデータの概要(1)分析した法人企業統計のデータに関する基礎情報分析した法人企業統計のデータに関する基礎情報は、表2で示している。本稿では、製造業と非製造業(金融業、保険業を除く)にデータを分けた上で、さらに64 ファイナンス 2020 Mar.連載日本経済を 考える

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