ファイナンス 2020年3月号 Vol.55 No.12
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1.概観(1)内閣・内閣本府等予算内閣・内閣府は、各府省の施策に関する総合調整機能を担っており、予算の大宗はこうした総合調整機能を反映したものとなっている。例えば、内閣府の沖縄振興予算においては、沖縄振興計画に基づく関連事業の全体的把握及び事業相互間の進度調整、計画に沿った事業の推進を図る観点から、これらの事業に必要な経費を一括計上し、必要に応じ事業を実施する所管省庁に予算を移し替えて執行するなど、効果的な総合調整を行っている。こうした機能・任務に照らして、必要となる諸課題に対応するため、内閣・内閣本府等の2年度当初予算は全体として、対元年度6,104億円増の38,766億円(臨時・特別の措置を含む)となっている*1。(2)復興庁予算復興庁は、東日本大震災からの復興に関する事業の円滑かつ迅速な遂行を図るため、東日本大震災からの復興に関する施策の企画立案・総合調整等を行っている。各省庁所掌の予算については、復興に関する行政各部の事業を統括・監理する一環として、復興庁が所管する一括計上予算として東日本大震災復興特別会計に計上しており、2年度予算では、「復興・創生期間」の最終年度において、被災地の復興に必要な取組を確実に実施するため、対元年度758億円減の14,024億円*2を計上している。*1) 主な増額の要因は、社会保障関係費の子どものための教育・保育給付に必要な経費が増額したことによるもの。*2) 東日本大震災復興特別会計の2年度歳出額20,739億円のうち、復興加速化・福島再生予備費(財務省所管:3,000億円)及び震災復興特別交付税(総務省所管:3,398億円)等を除き、復興庁所管の予算となっている。*3) 内閣府計上の予算であっても、警察庁や公共事業関係費、子ども・子育て本部計上の社会保障関係費、総合科学技術・イノベーション会議関係の予算などの予算は、他の担当係において査定がなされている。(3)外交関係予算2年度予算では、G20大阪に際して支援を表明したグローバル・ファンドなど国際分担金・拠出金の予算を手当し、政府全体の一般会計ODA予算について増額となっている。また、2年度外務省予算の柱は、ア.国際秩序の維持、イ.経済外交、ウ.戦略的対外発信、エ.地球規模課題解決への貢献、オ.大規模人材交流、カ.外交実施体制の強化、であり、外交政策を力強く実施するため、外務省ODA予算についても増額となっている。2.内閣・内閣本府等予算内閣・内閣本府等予算の主な項目は以下のとおりである*3。(1)沖縄振興予算(内閣府沖縄担当部局)沖縄振興策を総合的・積極的に推進するため、沖縄振興予算について、所要額を積み上げ、総額3,010億円を計上している(臨時・特別の措置を含む)。その中で、国家戦略として沖縄振興策を総合的・積極的に推進する観点から、(1)新規事業として、沖縄の小規模離島を結ぶ海底送電ケーブルの更新経費に対する支援に必要な経費11億円など、(2)公共事業関係費等、沖縄振興一括交付金や沖縄科学技術大学院大学、沖縄健康医療拠点整備経費などについて、所要額を計上している。令和2年度 内閣・内閣本府等、復興庁及び外交関係予算について主計局主計官 佐藤 大2 ファイナンス 2020 Mar.特 集

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