ファイナンス 2020年3月号 Vol.55 No.12
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3. 令和2年度地方財政対策(通常収支分)について(1)地方の歳出の見込みA)一般行政経費令和2年度の地方の一般行政経費については、消費税率引上げに伴う社会保障の充実に係る事業費4兆2,968億円(対前年度+1兆6,199億円)などを含め、補助事業として22兆7,126億円(対前年度+1兆2,281億円)、地方単独事業として14兆7,510億円(対前年度+3,006億円)が計上されている。また、地方法人課税の偏在是正措置による生じる財源を活用して、地方創生を推進するための基盤ともなる地域社会の持続可能性を確保するため、地方公共団体が地域社会の維持・再生に向けた幅広い施策に自主的・主体的に取り組むための新たな歳出として、「地域社会再生事業費」4,200億円を計上している。地方創生のための「まち・ひと・しごと創生事業費」については、地方公共団体が自主性・主体性を最大限発揮して地方創生に取り組み、地域の実情に応じたきめ細やかな施策を可能にする観点から、第2期「まち・ひと・しごと創生総合戦略」の期間が始まる令和2年度においても、対前年度同額の1兆円を計上している。この他、地方公共団体金融機構の公庫債権金利変動準備金を活用し、交付税特別会計における譲与税財源の借入れを行わないこととした上で、森林環境譲与税を前倒しで増加することとし、令和2年度においては400億円(対前年度+200億円)を計上しており、これにより森林整備を一層促進することとしている。この結果、一般行政経費は、40兆3,717億円(対前年度+1兆9,520億円)となっている。B)投資的経費投資的経費については、12兆7,614億円(対前年度▲2,539億円)を計上している。このうち、国の直轄事業、補助事業に係る経費については、「防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策」(平成30年12月14日閣議決定)に基づくもの(9,365億円(対前年度▲2,153億円))を含め、全体で6兆6,477億円(対前年度▲2,600億円)となっている。地方単独事業に係る経費については、防災・減災対策を推進するため、「緊急防災・減災事業費」及び「緊急自然災害防止対策事業費」について対象事業を拡充したうえで、それぞれ5,000億円(対前年度同額)、3,000億円(対前年度同額)を計上することとしており、全体で6兆1,137億円(対前年度+61億円)となっている。【資料:令和2年度地方財政対策のポイント】1.地方財政の健全化・地方交付税交付金等(入口ベース:一般会計の歳出)は15.8兆円(▲0.2兆円)※地方特例交付金を除けば+0.1兆円・地方財政計画上の地方交付税交付金(出口ベース:地方団体に交付される金額)は16.6兆円(+0.4兆円)・国と地方が折半で負担する財源不足はゼロ(2年連続)・臨時財政対策債の発行を3年連続縮減(3.1兆円(▲0.1兆円))2.地方一般財源総額の確保・一般財源総額(水準超経費を含む):63.4兆円(+0.7兆円)・一般財源総額(水準超経費(不交付団体の超過財源見合い歳出)を除く):61.8兆円(+1.1兆円)⇒ 前年度と実質的に同水準を確保3.地方歳出の主なポイント(1)地方法人課税の新たな偏在是正措置により生じる財源の活用・地方法人課税の偏在是正措置による財源を活用して、地方団体が地域社会の維持・再生に向けた幅広い施策に自主的・主体的に取り組むため、「地域社会再生事業費」(4,200億円)を新たに計上(2)防災・減災対策の推進・防災・減災対策として、河川等の浚渫を推進するため、「緊急浚渫推進事業費」(900億円)を新たに計上(3)森林吸収源対策・地方公共団体金融機構の準備金を活用し、森林の整備等に充てる森林環境譲与税を増額(400億円(+200億円))18 ファイナンス 2020 Mar.特 集

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