ファイナンス 2020年3月号 Vol.55 No.12
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の見直し等の重点化を行うこととし、460億円〔▲92億円〕を計上している。〈再生可能エネルギー関連予算〉再生可能エネルギー関連予算については、優先順位付けを明確化し、政策効果の高い事業への重点化を進めている。具体的には、水素社会実現に向けた革新的燃料電池技術等の活用のための技術開発事業53億円〔新規〕、カーボンリサイクル・次世代火力発電の技術開発事業155億円〔+44億円〕等を計上している。イ.燃料安定供給対策我が国のエネルギーの安定供給を確保する観点から、資源権益の獲得、石油コンビナート等の生産性向上や強靱化等に必要な経費を計上している。具体的には、(独)石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)への出資金565億円〔+195億円〕等を計上している。(2)電源開発促進勘定(電源開発促進税財源)電源開発促進勘定の歳出は、発電設備の建設と運転を円滑にすることを目的とする「電源立地対策」、発電用施設の利用促進と安全確保等を目的とする「電源利用対策」及び「原子力安全規制対策」で構成されており、前二者の経済産業省所管分については、それぞれ1,534億円〔▲34億円〕、141億円〔+4億円〕を計上している。このうち、「電源立地対策」の約半分を占める電源立地地域対策交付金は、発電用施設等の立地の促進及び運転の円滑化を図るため、立地自治体に対して交付される交付金である。設備容量や発電電力量などによって交付額が算定されており、762億円〔▲47億円〕を計上している。また、「原子力災害からの福島復興の加速のための基本指針」(平成28年12月閣議決定)を踏まえ、中間貯蔵施設費用相当分について、原子力損害賠償・廃炉等支援機構に対する交付金として470億円〔同額〕を計上している。6 令和2年度予算における「臨時・特別の措置」令和元年10月における消費税率引上げへの対応のため、「臨時・特別の措置」として、(1)消費喚起のためのキャッシュレス・消費者還元事業と商店街活性化策等(一般会計)、(2)「防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策」(エネルギー対策特別会計、一般会計)を実施することとしている。具体的には、キャッシュレス決済手段によって中小・小規模の小売店等で支払いを行った場合に、個別店舗については5%、フランチャイズチェーン加盟店等については2%を還元するキャッシュレス・消費者還元事業を令和2年6月末まで継続するため2,703億円を計上している。また、商店街活性化・観光消費創出事業に30億円、マイナポイント事業実施に伴うキャッシュレス決済端末導入支援事業に20億円を計上している。防災・減災、国土強靱化の緊急対策としては、災害時に生活支援拠点となるコンビニ等に対する自家発電設備等の導入支援に18億円(通常分と合わせて48億円)、石油コンビナートの強靱化推進事業に235億円(通常分と合わせて275億円)、ガソリンスタンドへの自家発電機等の導入支援に25億円(通常分と合わせて30億円)等を計上している。7 復興関係(東日本大震災復興特別会計)東日本大震災の被災地の復旧・復興状況を踏まえ、福島イノベーション・コースト構想の実現や被災中小企業の復旧事業等に必要な予算を計上している。具体的には、福島県浜通り地域の産業振興に資する技術開発・実用化開発を支援するために57億円〔同額〕を計上するほか、福島ロボットテストフィールド等の拠点施設の運営等や関連プロジェクトの創出等を支援するために10億円〔+1億円〕を計上している。また、被災地の産業復興・雇用創出に向けて、中小企業組合等共同施設等災害復旧事業(いわゆるグループ補助金)に140億円〔+65億円〕を計上している。○ 環境省予算1 概観環境省の令和2年度一般会計予算では3,240億円を計上しており、うち1,302億円がエネルギー対策費、454億円が公共事業関係費、1,040億円が科学技術振興費・その他経費、444億円が原子力規制委員会関係となっている。また、東日本大震災復興特別会計において6,813億円を計上しているほか、令和2年度の「防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策」に係る臨時・特別の措置として、地域の防災・減災と12 ファイナンス 2020 Mar.特 集

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