ファイナンス 2020年3月号 Vol.55 No.12
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54億円〕)を計上している。具体的には、次世代人工知能の基盤技術の開発を実施するとともに、人工知能技術とロボット技術を融合させた研究開発成果の社会実装を目指した産学官連携の大規模研究を支援するため50億円〔+1億円〕を計上するほか、研究開発型スタートアップに対し、その事業段階に応じ、ベンチャーキャピタルや研究機関等の協力を得ることを条件に、実用化開発等に係る費用を支援するため27億円〔+10億円〕を計上している。また、イノベーションを創出し得る若手研究者のシーズ研究や民間企業との共同研究等への支援を行う官民による若手研究者発掘支援事業に15億円〔新規〕を計上している。3 中小企業対策中小企業対策費は、経済産業省予算のほか、財務省予算及び厚生労働省予算に計上されており、景気回復を反映した信用保証制度の運営のための(株)日本政策金融公庫への出資金の減〔▲27億円〕を反映して、一般会計全体では1,723億円〔▲17億円〕を計上している。令和2年度予算では、事業承継に対する支援に重点化するとともに、中小企業・小規模事業者の生産性向上を促進するための設備投資や資金繰り対策等に必要な予算を計上している。具体的には、事業承継時に経営者保証を不要とする新たな信用保証制度の創設20億円〔新規〕(別途財務省分40億円〔新規(下記、資金繰り支援対策予算の内数)〕)、「事業引継ぎ支援センター」を含む中小企業再生支援・事業引継ぎ支援事業75億円〔+5億円〕、地域中核企業を含む中小企業・小規模事業者が産学官連携により行う研究開発等の支援事業143億円〔▲16億円〕、ものづくり・商業・サービス高度連携促進事業10億円〔▲40億円〕を計上している。資金繰り対策については、(株)日本政策金融公庫による低利融資や信用保証協会の債務保証等を円滑に行うため279億円〔+13億円〕(別途財務省分601億円〔▲15億円〕)を計上している。なお、令和元年度第1次補正予算では、中小企業が、働き方改革や被用者保険の適用拡大、賃上げ、インボイスの導入など、相次ぐ制度変更に対応することができるよう、(独)中小企業基盤整備機構が複数年にわたって中小企業の生産性向上を継続的に支援する「生産性革命推進事業」を創設し、当機構が、(1)中小企業に対する補助事業(ものづくり補助金、IT補助金、持続化補助金)、(2)先進事例や支援策の周知・広報、(3)相談対応・ハンズオン支援を一体的に実施するため3,600億円を計上している。4 国際展開支援経済産業省の令和2年度一般会計予算においては、企業の国際展開の支援として、中堅・中小企業等の海外展開支援や対内直接投資の促進、グローバルベンチャーの創出支援等に必要な予算を計上している。具体的には、中堅・中小企業等の海外展開支援や対内直接投資を促進するため、(独)日本貿易振興機構(JETRO)への運営費交付金として254億円〔+4億円〕等を計上している。また、大阪・関西万博の開催準備等のため、34億円〔+12億円〕を計上している。5 エネルギー対策特別会計エネルギー対策特別会計には、石油石炭税収を財源とするエネルギー需給勘定、電源開発促進税収を財源とする電源開発促進勘定、原子力損害賠償支援勘定の3つの勘定がある。(1)エネルギー需給勘定(石油石炭税財源)令和2年度予算においては、予算の重点化・効率化を進め、革新的燃料電池・蓄電池技術の研究開発やカーボンリサイクル技術のイノベーションの加速等を推進するほか、臨時・特別の措置として引き続き電力インフラの強靱化等を行うこととしている。ア.エネルギー需給構造高度化対策〈省エネルギー関連予算〉省エネルギー関連予算としては、省エネルギー技術の研究開発、省エネ設備投資、クリーンエネルギー自動車の購入等を支援しており、規制的手法との組み合わせ等により効果的・効率的に省エネルギー政策を推進することとしている。例えば、省エネルギー投資促進に向けた支援補助金については、省エネ設備の入替促進に向けて、市場への普及状況を踏まえた補助対象 ファイナンス 2020 Mar.11令和2年度予算特集:2令和2年度司法・警察、経済産業、環境予算について特 集

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