ファイナンス 2020年3月号 Vol.55 No.12
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2年度予算においては、「開発協力大綱」(27年2月10日閣議決定)を踏まえつつ、国益に資する開発協力を一層戦略的に実施するために必要な経費として、無償資金協力については1,632億円(元年度1,631億円)、技術協力(独立行政法人国際協力機構)については1,516億円(元年度1,510億円)を計上している。[国際機関等への拠出*5]国際機関等への拠出については、国連分担金等、条約等に基づく支払い義務があるもの(分担金・義務的拠出金)と、政策的判断に基づき任意に拠出するもの(任意拠出金)から構成される。2年度予算では、分担金・義務的拠出金として1,034億円(元年度989億円)、任意拠出金として339億円(元年度284億円)を計上している。任意拠出金については、外務省の2年度概算要求に際し、(1)国際機関等の活動の成果・影響力、(2)日本の外交政策上の有用性・重要性、(3)組織・財政マネジメント、(4)日本人職員・ポストの状況等を評価基準として、国際機関等の実績・成果等を対象とした評価を実施*6しており、これらを踏まえつつ、メリハリを付けた予算を計上している。(2)外務省予算の柱外交政策を力強く実施し、国益を確保していくため、主に以下の施策に予算を計上している。ア.基本的価値に基づいた国際秩序の維持1,351億円(元年度1,274億円)[「自由で開かれたインド太平洋」の実現]途上国に対する法制度整備支援・能力構築支援や、ハード(港湾、鉄道、道路等)+ソフト(制度・基準、技術・運用ノウハウ)面でのインフラ支援及び技術協力等のための経費を計上している。[法の支配に基づく国際秩序の強化]国際経済紛争処理を含む訴訟に対応するための体制整備や、AI・宇宙・サイバー等に関する調査研究、*5) 国際機関等への拠出で記載されている予算額は、非ODA予算も含む。*6) 拠出を開始したばかりのもの等、一部の案件については、対象となる実績・成果等が十分把握できないことから、評価の対象外とした。自律型致死兵器システム(LAWS)に関するわが国の立場を働きかけるための会議・調査研究等のための経費を計上している。イ.積極的な経済外交の推進894億円(元年度904億円)[自由貿易の推進、自由で開かれた経済秩序の維持・強化]WTOへの積極的な取組(専門職員の体制強化、弁護士事務所への法的助言委託等)等のための経費を計上している。[中小・中堅企業も含めた日本企業の海外展開推進支援]日本企業の国連調達率向上のためのビジネスセミナー開催、中小企業等が有する技術の途上国への展開に向けた現地調査・実証事業等のための経費を計上している。[観光立国の推進]戦略的なビザ緩和を含むインバウンド観光の促進等のための経費を計上している。ウ.戦略的対外発信強化を通じた親日派・知日派の拡大742億円(元年度725億円)[正しい姿を含む政策・取組の発信強化]海外シンクタンクとの連携強化や外国メディアへの発信強化等のための経費を計上している。[親日派・知日派の飛躍的拡大]JICA開発大学院連携(留学生に対する日本の開発・発展とODAの経験の共有)による途上国の発展への貢献及び親日派・知日派人材の育成強化等のための経費を計上している。エ.地球規模課題解決への積極的貢献3,198億円(元年度2,838億円)[「人間の安全保障」の理念に基づくグローバルな課題への対応、SDGsの推進]持続可能な開発目標(SDGs)達成に不可欠な教育 ファイナンス 2020 Mar.7令和2年度予算特集:2令和2年度内閣・内閣本府等、復興庁及び外交関係予算について特 集

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