ファイナンス 2020年2月号 Vol.55 No.11
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各地の話題「歴史から温泉まで 幻想と癒しのまち」山鹿山鹿税務署 総務課長川﨑 桂司 はじめに山鹿税務署は、明治29年に熊本県鹿本郡を管轄区域として設置されました。その後、5回の管轄区域変更を経て、現在は山鹿市のみを管轄しています。山鹿市は、熊本県の北部に位置し、豊前街道を中心に栄えた宿場町です。東は菊池市、西は玉名郡、南は熊本市、北は福岡県八女市及び大分県日田市と境をなしています。豊かな自然環境の下、良質な温泉、古代から近代に至る歴史・文化遺産、伝統工芸・芸能、豊富な農林産物などが自慢です。 管内の名所〔山鹿温泉・さくら湯〕山鹿市には長い歴史を持つ山鹿温泉、熊入温泉、平山温泉、菊鹿温泉、鹿本温泉があります。県下一の湧出量を誇り、良質で肌ざわりがやわらかな温泉は「美人の湯」ともいわれています。山鹿温泉「さくら湯」は、寛永17年(1640年)の肥後細川藩の山鹿御茶屋にその歴史の端を発し、明治初期の「山鹿温泉大改築」以降、明治31年(1898年)の道後温泉の棟梁による大改修等を重ねながら、昭和48年(1973年)に惜しまれつつ取り壊されるまで、山鹿温泉の元湯として市民の生活の中にあった温泉でした。その「さくら湯」が時を越え、日本の伝統工法による九州最大級の木造温泉として平成24年に甦りました。昔の面影そのままに、唐破風のある南北の玄関や十字にクロスした独特の屋根の形など、江戸期の建築様式を可能な限り再現しています。「さくら湯」外観「さくら湯」内観〔八千代座〕江戸時代の参勤交代路であった豊前街道沿いには、明治の芝居小屋「八千代座」(国指定重要文化財)や山鹿灯籠民芸館等の歴史ある建造物が立ち並び、古き良き時代の面影を今に伝えています。「八千代座」は、明治43年(1910年)に旦那衆と呼ばれる山鹿の実業家たちによって建てられた芝居小屋で、ドイツ製のレールを使った廻り舞台や桝席・花道など充実した機能を持ち、江戸時代の歌舞伎小屋の山鹿 ファイナンス 2020 Feb.81連載各地の話題

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