ファイナンス 2020年2月号 Vol.55 No.11
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財務総合政策研究所Ministry of Finance, Policy Research Institute1.はじめにみなさんこんにちは。メルカリの小泉です。本日は、スタートアップの話から入りまして、その後のメルカリの成長やその成長の裏側にある消費の変化等をお話ししたいと思っています。私は最初、金融機関に3年ほどいました。新卒時からずっと投資銀行部門にいまして、主にテクノロジー企業のIPO(新規株式公開)のアドバイスをしていました。その後、自分のアドバイス先であったミクシィに入り、コーポレートを中心に様々な業務を経験しました。そして、そこを辞め、メルカリに入社しました。このほかにも私が役員として関わった企業は、8社が上場しています。若い会社の経営を早い時期からサポートし成長させていくということをやってまいりました。2.メルカリについて(1)メルカリのミッションメルカリという会社は「新たな価値を生みだす世界的なマーケットプレイスを創る」をミッションとしています。「新たな価値」とは何でしょうか。人によって、また、タイミングによって価値は変化するものだと私は思っています。ある人にとっては価値がないものでも、別の人には価値がある。今までは、そういうものをマッチングするマーケットプレイスがなかったのです。これを作ることによって循環型社会の実現であるとか、人々の行動を変えていきたい、こういったミッションを掲げています。しかも、それを世界的にやりたいと考えています。(2)企業概要メルカリの設立は2013年2月です。創業してまだ6年半ほどの若い会社です。我々は、「世界的な」マーケットプレイスを創るというミッションを掲げていますので、日本に加え、創業の翌年から米国でも事業を開始しています。現在、オフィスは日本に3か所(東京、仙台、福岡)、米国も3か所(サンフランシスコ、ポートランド、ボストン)あります。東京のオフィスには、1,000人程度の社員がいます。仙台と福岡はカスタマーサポートが中心です。日本全体では1,600名ほどの社員がいます。米国には200名強の社員がおり、グローバルでは1,800名程度の規模になります。(3)どういう形で立ち上がってきたのかア. 勝者総取りのモデルマーケットプレイスというビジネスは、勝者が総取りする(Winner-take-all)モデルです。ソーシャルメディアもそうですし、eコマースもそうですけれども、人であるとかモノ、情報が集まるところにさらに価値が生まれていく、いわゆるネットワークの外部性が働いて、そのマーケットプレイスなりサービスが圧倒的な1位になる。1位しか意味がないというモデルです。実は、私たちは先発のサービスではなく、後発組です。フリルというベンチャー企業が私たちよりも1年ぐらい前にサービスを開始しています。フリルはのち令和元年10月7日(月)開催職員 トップセミナー小泉 文明 氏(株式会社メルカリ取締役会長)「メルカリのこれまでの 成長の軌跡と今後の戦略」演題講師62 ファイナンス 2020 Feb.連載セミナー

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