ファイナンス 2020年2月号 Vol.55 No.11
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5.0%以上高い金利を適用した銀行は8月の数字と比べると0.9%低下しているなど、LPR導入後、LPRの低下に加え、徐々に貸出金利の低下も進んでいることが分かる。また、2019年12月28日、PBCはLPRの更なる役割強化を図るべく、新たな通達を出した。主な内容は次のとおりである。(1)2020年1月1日以降、金融機関は「貸出基準金利」に基づく変動金利での貸出を実行してはいけない。(2)2020年3月1日以降、金融機関は既存の変動金利貸出のベンチマーク金利を貸出基準金利からLPRに変更する交渉が可能となる。ただし、1度だけの変更であることに加え、すべてを2020年8月1日までに手続を終了させる必要がある。このように、LPRに基づく契約に変更することが可能となることで、企業の資金調達コストがより一層下がることを期待されている。中国政府は2019年12月に開催された中央経済工作会議においても、「穏健な金融政策は、適度に柔軟にし、合理的で十分な流動性を維持し、信用貸付と社会融資規模の伸びを経済発展に合わせ、社会融資コストを低下させる。」と示しており、企業の資金調達コストの動きを表すLPRの動向には中国政府も注目していると思われる。(注)文中、意見に係る部分は全て筆者の私見である【図表1】LPRの推移(2019年以降)3.55.04.84.54.34.03.8123456789101112120192020(%)(出所)中国国家銀行間資金調達センター1年物5年物【図表2】 新LPR導入後の銀行貸出金利に適用した銀行の割合 (LPRとの比較)(%)月LPRよりも低い金利LPRと同じLPRよりも高い0.0-0.5%0.5-1.5%1.5-3.0%3.0-5.0%5.0%以上小計8月15.550.3220.2626.9616.6910.469.7684.139月16.400.5521.1126.6716.2510.158.8683.04(出所)中国人民銀行「金融政策執行報告」 ファイナンス 2020 Feb.61コラム 海外経済の潮流 126連載海外経済の 潮流

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