ファイナンス 2020年2月号 Vol.55 No.11
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( ii ) 中央アジア・コーカサスセミナーへのBFA学生の受入れ設立翌年の1997年以来、BFA学生を毎年夏に日本へ招聘して中央アジア・コーカサスセミナー(詳細は後述)を開催し、これまでに200名を超える同学生を受け入れている。セミナー参加学生は、期間中に講義の受講、視察及びポリシーペーパー(詳細は後述)の作成・発表を行う。また、参加学生は帰国後、作成したポリシーペーパーをベースに修士論文を完成させることとなる。(2)中央アジア・コーカサスセミナー中央アジア・コーカサスセミナーは、1997年からBFA支援策として開始された「BFA夏期セミナー」を改組*11し、2006年以降は対象地域を中央アジア・コーカサス8ヵ国*12へと拡大し、毎年開催している。同セミナーのカリキュラムは、主に、( i )講義、( ii )視察・カントリーレポート及び( iii )ポリシーペーパーの作成・発表で構成されており、2019年は、8月7日から29日までの日程で、BFAの学生10名の他、アルメニア、ジョージア、キルギス、カザフスタン、タジキスタン及びトルクメニスタンの財務省職員等、計7ヵ国18名が参加した。( i )講義財政・税制等の幅広い分野における日本の諸政策及び経済活動の経験を伝えることを目的とし、財務省及び関係諸機関の実務担当者のほか、経済・財政等の各分野の研究者及び専門家による「政策講義」を実施している。併せて、日本についての理解を深めてもらうため、日本語研修等の「一般講義」も実施している。( ii )視察財政・金融関連諸機関等を実地に訪問することにより日本経済・社会情勢について理解を深めてもらうことを目的として実施している。2019年は国会、東京上野税務署、東京証券取引所、横浜税関及び造幣局等*11) この改組は、中央アジア・コーカサス諸国がいずれも旧ソ連の構成国であり、1991年に独立を優先し、市場経済化に取り組んでいるという共通点を有することから、対象地域を限定としたセミナーとすることにより参加国相互間の議論を通じた相乗効果が期待できるほか、今後の地域協力の基礎となる財政政策当局間のネットワーク形成に資すると考えられることから行われたものである。*12) アルメニア、アゼルバイジャン、ジョージア、カザフスタン、キルギス、タジキスタン、トルクメニスタン及びウズベキスタン。いずれも旧ソ連圏に属し、地理的にも近接しているため、同じような問題を抱えていると見られがちであるが、それぞれが抱える問題は均一ではなく、歴史的経緯、民族的違いなどもあり、各国は必ずしも親密な関係にあるとも言えないのが実態である。を視察した。また、関西地方に足を延ばし、日本の文化や歴史に触れる機会も提供している。( iii )ポリシーペーパー財政・税制・金融・国際経済等の分野における自国の政策課題の中から選定したテーマについて、各分野の研究者・専門家によるグループ指導の下でポリシーペーパーを作成する。講義内容も踏まえた日本の制度・経験の適用の是非等に関する検討・分析も交えた研究を行い、セミナーの最後の2日間では、弊所幹部等を前に全参加者が各自のポリシーペーパーについて発表を行う。また、BFAからの参加者については、帰国後、本【講義の模様】【東京証券取引所視察の模様】50 ファイナンス 2020 Feb.SPOT

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