ファイナンス 2020年2月号 Vol.55 No.11
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間の戦略的パートナーシップの更なる深化及び拡大に関する共同声明」*10によれば、ウズベキスタン側は財務総研による金融・財政分野の人材育成に関する協力を高く評価しているものとされているところ、次章では、財務総研が当該人材育成に関する協力として実施している支援内容について、詳しく紹介したい。4財務総研による支援財務総研では、国際協力活動として、開発途上国に対する知的支援及び海外の研究機関との研究交流を行っている。対ウズベキスタンにおいては、1996年の金融財政アカデミー(Banking and Finance Academy、以下「BFA」)設立以来20年以上にわたり、ウズベキスタン政府の要請によりBFAに対して人材育成に関する知的支援を行っているほか、ウズベキスタン財務省職員に対しても、財務総研が主催するセミナーに招聘している。(1)BFA支援の概要BFAは、同国の財政金融分野の政策運営等を国際的水準に引き上げることを目的として、1996年5月の大統領令に基づき同年10月に設立された教育機関(大学院レベル)である。各分野の専門家育成のためのプログラムを実施しており、現在、ウズベキスタン政府、金融機関等より選抜された幹部候補生約200名が、修士・博士レベルのカリキュラムを履修している。BFA設立にあたっては、カリモフ大統領(当時・故人)からアジモフ対外経済銀行総裁(当時・元副首相兼財務大臣・現ウズベクインベスト社長)に対し、米国流でも英国流でもない教育を目指し、日本からの支援を検討するよう指示があった。旧知の千野忠男元財務官(当時・故人)に連絡を取り、千野氏の尽力により財務省(当時は大蔵省)によるBFA支援が開始された経緯がある。こうした背景により始*10) 出所:外務省HP(https://www.mofa.go.jp/mofaj/les/000551638.pdf)まった財務総研による主な支援としては、( i )BFA第一副院長(非常勤)の推薦及び派遣、( ii )中央アジア・コーカサスセミナーへのBFA学生の受け入れを実施している。( i )BFA第一副院長(非常勤)の推薦及び派遣BFA第一副院長とは、ウズベキスタンに常駐しない非常勤の名誉的な職務である。1996年の設立当初からウズベキスタン政府からの要請を受け、財務省(財務総研)が推薦を行い、ウズベキスタン政府により任命されている。現職は第5代目の宗永健作特別研究官が務めており、年2回現地へ出張し、中央アジア・コーカサスセミナー参加学生の選抜面接(例年3月)、同セミナー参加学生の修士論文の最終口頭試問(例年6月)を実施するのに加え、BFA及び地方の大学等において特別講義を実施している。(参考)歴代のBFA第一副院長在 籍 期 間氏 名初 代1996年9月~2004年1月北村 歳治第2代2004年1月~2006年10月小口 一彦第3代2006年1月~2008年3月中村 修三第4代2008年6月~2015年11月柏木 茂雄第5代2015年12月~宗永 健作【最終口頭試問の模様】【特別講義の模様】【BFAの外観】 ファイナンス 2020 Feb.49ウズベキスタンにおける知的支援についてSPOT

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