ファイナンス 2020年2月号 Vol.55 No.11
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敦賀延伸に向けての機運が高まってきています。地域連携の業務に携わる中で、我々財務局が持つそれぞれの地域に対するイメージと、地元の自治体や地域住民が持つイメージにはズレがあることを感じるので、社会が多様化する中でどうやってニーズを把握していくのか、地域とのコミュニケーション力や企画力を持つ職員を育成していかなければならないと思います。○下園(関東) 甲府市でもリニアに対する期待値が少なからずあります。ただ、リニア駅の建設予定地が甲府駅から離れているので、2次交通の問題を心配する人たちがいるのも事実です。甲府財務事務所では、先日、県内の金融機関の若手職員と地域の課題について意見交換を行いました。金融機関の職員は地元出身の方が多く、地域に根付いた方と意見交換をすると新しい発見がたくさん生まれ、非常に有意義なものでした。○司会 皆さん、各地域でいろんな声をつぶさに拾っていらっしゃるんですね。では、様々な声を拾ってこられた中で、「財務局ができること」という観点から、具体的に実施したことはありますか。○平田 沖縄総合事務局では、他省庁の出先機関に当たる他部と連携した地域貢献を行っています。自治体との意見交換の場で聞いた国に対する要望を、適宜他部へ情報共有しており、例えば、ソーシャルインパクトボンドを活用した事業を行いたい自治体と経済産業部をつなぐなど、地域のハブとしての役割を果たしています。○川田 事業に対する国の補助制度は多岐にわたるので、自治体からすると全てを把握するのはなかなか大変ですよね。北陸財務局では、各省庁の補助金等の制度をまとめて説明できるような相談会を行っています。また、管財部門では、国公有財産の有効活用を目的として、民間企業・金融機関等も交えたワークショップを行っています。○司会 今の財務局にとっては、そういった場を提供することも、重要な仕事の一つとなっているんですね。○片山 地域住民と直に触れ合う機会は、非常に重要だと思います。金融機関や自治体から得られる情報はたくさんありますが、地域住民との関わりは間接的になりがちです。ここ数年は若年層や子育て世代向けの講座などで地域住民と直に接する機会が増えているので、そういった場でのコミュニケーションをこれまで以上に意識し、地域の課題解決のために何が必要なのかを考えることが大事になると思います。○細川 「まずは聴く」という姿勢は大事ですよね。そのうえで、世の中の大きな流れや国の方向性などをある程度意識し、考えることが必要だと思います。○川田 さらに言えば、信頼関係の構築ですよね。信頼関係がなければ、本音を話していただけません。そういった点では、ここ数年の小さな成果の積み重ねで、地域の方々との信頼関係を徐々に築けているのかなっていう実感はあります。そういった積み重ねの結果、自治体の方が困ったときに拠り所としてくれるような財務局になることが理想なのかなと思います。そうすることで地域社会に対する財務局のプレゼンスも自然と高まってくると思います。○司会 確かに、今は地域社会に対する財務局のプレゼンスの向上期だと感じます。職員一人一人がそれぞれの業務を組織全体の一員として取り組むことにより地域貢献を果たしていくことで、国民の信頼に応えることにつながり、「財務局=国と地域を繋げてくれる組織」という認識が地域に浸透していくのではないかと思います。様々なご意見をいただき、ありがとうございました。36 ファイナンス 2020 Feb.財務局70周年~これからの財務局のあるべき姿~SPOT

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