ファイナンス 2020年2月号 Vol.55 No.11
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「令和2年度の経済見通しと経済財政運営の基本的態度」(以下「政府経済見通し」という。)が令和2年1月20日に閣議決定された。政府経済見通しは、翌年度の経済財政運営に当たって、政府がどのような基本的態度をとるのか、及び、それを踏まえて経済はどのような姿になるのか、という点について示したものである。今回の政府経済見通しでは、外需がマイナスに寄与する一方、民需、公需はともにプラスに寄与し、令和2年度の実質GDP成長率は1.4%程度、名目GDP成長率は2.1%程度になると見込んでいる。令和2年度の我が国経済は、「安心と成長の未来を拓く総合経済対策」(以下「総合経済対策」という。)の政策効果もあいまって、雇用・所得環境の改善が続き、経済の好循環が更に進展する中で、内需を中心とした景気回復が見込まれる。以下、令和2年度政府経済見通しの具体的な内容について紹介する。なお、GDPの内訳項目等の詳細な見通しについては、文末の表を参照されたい。1.令和元年度の経済動向令和元年度の我が国経済は、海外経済の減速等を背景に外需が弱いものの、雇用・所得環境の改善等により、内需を中心に緩やかに回復している。令和元年10月に実施した消費税率の引上げに当たっては、経済の回復基調に影響を及ぼさないといった観点から、軽減税率制度や臨時・特別の措置など各種の対応策を実施している。今後についても、緩やかな回復が続くことが期待されるものの、消費税率引上げ後の経済動向を引き続き注視するとともに、台風等の被害からの復旧・復興の取組を更に加速し、あわせて米中貿易摩擦など海外発の下方リスクによる悪影響に備える必要がある。こうした中、政府は、「15か月予算」の考え方で、災害からの復旧・復興と安全・安心の確保、経済の下振れリスクを乗り越えようとする者への重点支援、未来への投資と東京オリンピック・パラリンピック後も見据えた経済活力の維持・向上を柱とし策定された総合経済対策に基づき、予備費を含めた令和元年度予算、令和元年度補正予算及び令和2年度の臨時・特別の措置を適切に組み合わせることにより、機動的かつ万全の対策を講じ、当面の需要喚起にとどまらず、民需主導の持続的な経済成長の実現につなげていくこととしている。物価の動向をみると、原油価格の下落の影響等により、消費者物価(総合)は前年比で伸びが低下している。この結果、令和元年度の実質GDP成長率は0.9%程度、名目GDP成長率は1.8%程度と見込まれる。また、消費者物価(総合)は0.6%程度の上昇と見込まれる。2. 令和2年度の経済財政運営の 基本的態度今後の経済財政運営に当たっては、「経済再生なくして財政健全化なし」の基本方針の下、デフレ脱却・経済再生と財政健全化に一体的に取り組み、2020年頃の名目GDP600兆円経済と2025年度の財政健全化目標の達成を目指す。総合経済対策の円滑かつ着実な実施により、自然災害からの復旧・復興を加速するとともに、経済の下振令和2年度 政府経済見通しについて内閣府政策統括官(経済財政運営担当)付参事官(経済見通し担当)補佐 永田 光 ファイナンス 2020 Feb.23特 集

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