ファイナンス 2020年2月号 Vol.55 No.11
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本稿では、昨年12月20日に公表した令和2年度国債発行計画の内容を中心として、来年度の国債管理政策の概要を説明したい。1.現下の国債市場の状況令和元年は、年明け以降、米中間の貿易問題など世界経済を巡る不透明感が増したこと等を背景に、米欧債金利が大幅に低下したことを受け、我が国の長期金利はマイナス圏まで低下した。8月以降、米中貿易摩擦の激化・長期化懸念が深刻化し、長期金利は、一時、2016年7月以来の水準である▲0.295%まで下落。その後は、米景気減速懸念の後退や米中貿易協議の進展期待等もあって、長期金利は上昇基調に転じ、年末にかけてゼロ%近辺まで上昇して推移している。我が国における各年限の金利の動きを見ると、年前半は、全年限で金利が低下し、中期債・長期債金利がマイナス圏で推移する中、プラス金利の超長期債が買われ、イールドカーブはフラット化。年後半は、長期金利が上昇基調に転じる中で、超長期債金利も上昇するとともに、追加緩和期待が剥落したことで、中期債金利も上昇した。2.令和2年度国債発行計画の概要以上のような市場環境を踏まえ、令和2年度国債発行計画を策定した(表1)。(1)発行根拠法別発行額令和2年度の国債発行総額は、令和元年度当初と比べ4.7兆円増の153.5兆円となった。発行根拠法別(表2、左表)の内訳をみると、まず一般会計予算の歳入となる新規国債(建設国債・特例国債)は、前年度当初比▲0.1兆円減の32.6兆円となった。復興債は、東日本大震災からの復興のための施策に要する費用の財源に充てるため、復興特別税等の収入が確保されるまでのつなぎとして発行されるものであり、令和2年度においては、同▲0.0兆円減の0.9兆円の発行を予定している。令和2年度国債発行計画について理財局国債企画課長 石田 清(表1)令和2年度国債発行計画の概要〈発行根拠法別発行額〉(単位:兆円)区  分令和2年度対元年度 当初新規国債 (建設・特例国債)32.6▲ 0.1復興債0.9▲ 0.0財投債12.0―借換債108.04.8国債発行総額153.54.7〈消化方式別発行額〉(単位:兆円)区  分令和2年度対元年度 当初市中発行分146.54.6通常の入札による市中発行額 (カレンダーベース市中発行額)128.8▲ 0.6入札時の追加 発行分 等17.75.2個人向け販売分4.80.1日銀乗換2.2―合計153.54.7〈年限構成(通常の入札)〉(単位:兆円)区  分令和2年度対元年度当初40年債3.00.630年債8.4―20年債10.8―10年債25.2―5年債22.8―2年債24.0―1年割引短期国債21.6―10年物価連動債1.6―流動性供給入札11.4▲ 1.2合計128.8▲ 0.6=20 ファイナンス 2020 Feb.特 集

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