ファイナンス 2020年2月号 Vol.55 No.11
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滑な資金調達に貢献する観点から、必要な資金需要に的確に対応することとしている。4.官民ファンドへの対応状況官民ファンドは、現在、我が国では民間資金がリスクマネーとして十分に供給されていない状況にある中、政府の成長戦略の実現や地域活性化への貢献等の政策的意義があるものに限定して、民業補完を原則とし、民間で取ることが難しいリスクを取ることによって民間投資を喚起するものであり、民間主導の経済成長を実現することを目的としている。官民ファンド全体においては、各機構創設以降の累積での実投融資額約1.9兆円(平成31年3月末時点)に対して、これまで誘発された民間の投融資額(呼び水効果)は約4.4兆円(平成31年3月末時点)、累積損益は約5,800億円のプラス(平成31年3月末時点)となっており、一定の成果が出ているものの、一部の官民ファンドでは累積損失を計上している。平成31年4月、累積損失の大きい4ファンド(農林漁業成長産業化支援機構、海外需要開拓支援機構、海外交通・都市開発事業支援機構、海外通信・放送・郵便事業支援機構)については、「新経済・財政再生計画 改革工程表2018」(平成30年12月経済財政諮問会議決定)に基づき、各官民ファンド及び監督官庁が、累積損失解消に向けた投資計画を策定・公表し、財投分科会においても報告した。また、財投分科会の報告書「今後の産業投資について」(令和元年6月)等を踏まえ、令和元年11月、当該4ファンドの投資計画をフォローアップしたところ、農林漁業成長産業化支援機構は計画未達となった一方、その他の3ファンドは計画を達成した。こうした状況を踏まえ、農林水産省は、農林漁業成長産業化支援機構に係る令和2年度の財投要求を取り下げ、令和3年度以降は新たな出資の決定を行わず、可能な限り速やかに解散するとの方針を示した。計画を達成した3ファンドについても、各官民ファンド及び監督官庁において、引き続き、毎年度、計画の進捗状況の検証を重ねつつ、仮に改善が見られない場合には、事業や組織の抜本的見直しも含めた業務運営の徹底した見直しを行う方針である。(参考資料) 令和元年12月18日 財政制度等審議会財政投融資分科会資料https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_filp/proceedings/material/zaitoa011218.htm ファイナンス 2020 Feb.19令和2年度予算特集:1令和2年度財政投融資計画について 特 集

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