ファイナンス 2020年2月号 Vol.55 No.11
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的に受け取った請求書等をデータのまま保存する場合の要件について、ユーザーが自由にデータを改変できないシステム等を利用している場合には、タイムスタンプの付与を不要とするなど、選択肢を拡大する。(イ)消費税の申告期限の延長働き方改革が進められる中、企業は非効率な業務プロセスの見直し等を行い、従業員の生産性をより一層向上させる等の取組みが求められている。企業の事務負担の軽減や平準化を図る観点から、法人税の申告期限を延長する特例の適用を受ける企業について、消費税の申告期限を1か月延長する特例を創設する。(ウ)利子税・還付加算金等の割合の引下げ利子税について、市中金利の実勢を踏まえ、その割合の引下げを行う(貸出約定平均金利+1% → 貸出約定平均金利+0.5%)。還付加算金等の割合についても、同様に引下げを行う。(エ)国外財産調書制度等の見直し適正な課税のためには税務調査を通じた的確な事実認定が不可欠である。一方、国外において行われた取引等については、執行管轄権の制約上、税務当局が直接現地に赴いて事実関係を確認することが困難である。このため、納税者による適切な情報開示を促す観点から、以下の見直しを行う。(1)国外財産調書制度について、納税者が指定された期限までに必要な資料を提示・提出しない場合には申告漏れに対する加算税を加重する等の見直しを行う。(2)更正・決定の期間制限について、納税者が指定された期限までに必要な資料を提示・提出せず、外国税務当局に対して情報交換(資料の入手及び提供)の要請が行われた場合、現行の期間制限にかかわらず、要請から3年間は更正・決定を可能とする。(オ)国外居住親族に係る扶養控除等の見直し国外居住親族に係る扶養控除等の適用について、所得要件が国内源泉所得のみで判定されるために、国外で一定以上の所得を稼得している親族でも扶養控除の対象にされているとの指摘を踏まえ、令和5年分以後の所得税について、留学生や障害者、送金関係書類において38万円以上の送金等が確認できる者を除く30歳以上70歳未満の国外居住親族については、扶養控除を適用しないこととする。(4)その他(ア)国際的な租税回避・脱税への対応日本企業の健全な海外展開を支えつつ、国際的な租税回避や脱税に対してより効果的に対応する観点から、これまでわが国は「BEPSプロジェクト」の合意事項等を踏まえ、租税回避防止措置等に関する累次の制度整備を行ってきた。令和2年度税制改正においては、子会社配当の非課税措置と子会社株式の譲渡を組み合わせて税務上の譲渡損失を創出させる租税回避に対処するため、法人が一定の支配関係にある子会社から一定の配当額(みなし配当金額を含む)を受ける場合、株式の帳簿価額から、その配当額のうち益金不算入相当額等を減額する見直しを行う(資料9)。(イ)たばこ税の見直し近年急速に販売が拡大しているリトルシガーのような軽量な葉巻たばこについては、紙巻たばこに類似しているものの、紙巻たばことの間に大きな税率格差が存在し、課税の公平性に問題が生じている。このため、1本当たり1グラム未満の軽量な葉巻たばこについて、紙巻たばこと同等の税負担となるよう、最低税率を設定する。なお、激変緩和を図る観点から、たばこ税率の引上げスケジュールにあわせて、一定の経過措置を講じ、最低税率を2段階(令和2年10月・令和3年10月)で引き上げる(資料10)。(ウ)地方創生の充実・強化わが国は急速な人口減少局面にあることに加え、地方においては東京圏等への人口流出と地域経済の縮小が進んでいる。人口の東京への過度な集中を是正すべく、首都圏から地方に移転する企業が地方拠点強化税制をより積極的に活用するよう促すため、地方拠点強化税制における雇用促進に係る措置について、移転型事業の上乗せ措置における雇用者1人当たりの税額控 ファイナンス 2020 Feb.13令和2年度予算特集:1令和2年度税制改正(国税)について 特 集

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