ファイナンス 2020年2月号 Vol.55 No.11
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(イ) 企業年金・個人年金制度等の見直しに伴う税制上の措置人生100年時代を迎える中で、高齢期の長期化や就労の拡大・多様化等を踏まえて、私的年金について、確定拠出年金等の加入可能年齢の見直しや、中小企業向け制度の対象範囲の拡大等の見直しが行われる予定である。この見直しに合わせて、税制上の措置についても、現行の措置を適用することとしている。(ウ)NISA制度の見直し・延長NISA制度についても、経済成長に資する資金供給を促すとともに、人生100年時代にふさわしい家計の安定的な資産形成を支援していく観点から、制度の見直しを行うこととしている(資料7・8)。具体的には、・非課税期間5年間の一般NISAについては、より多くの国民に積立・分散投資による安定的な資産形成を促す観点から、現行制度が終了した後の2024年から5年間の措置として、図のとおり、1階部分で積立投資を行っている場合に、2階部分で別枠の非課税投資を可能とする2階建ての制度に見直す。・非課税期間20年間のつみたてNISAについては、現行の制度を維持しつつ、2042年まで期限を5年延長し、2023年までに開始する積立について、20年間の積立期間を確保できるようにする。・なお、ジュニアNISAについては、利用実績が乏しいことから、延長せずに2023年末で終了することとしている。(3)円滑・適正な納税のための環境整備(ア)デジタル技術を活用した利便性の向上等納税者利便の向上及び官民を通じた業務の効率化を図るため、取引から申告・納付に至るまで税務関連手続の電子化を推進する。電子請求書や各種決済データを経理に活用すれば、取引先との間でも社内他部署との間でも書面の授受を行う必要はなくなる。それらのデータが電子帳簿と連携すれば、記帳の正確性を確保する観点からも有益である。こうした利点を踏まえ、請求書等の電子化を推進し、企業等の生産性向上を後押しする観点から、電子帳簿等保存制度の見直しを行う。具体的には、電子資料6※住民票の続柄に「夫(未届)」「妻(未届)」の記載がある者は対象外とする未婚のひとり親に対する税制上の措置及び寡婦(寡夫)控除の見直し(令和2年度改正案)ひとり親寡夫<未婚のひとり親>所得万円※全体について事実婚チェックなし特別寡婦扶養親族(子以外)あり寡婦扶養親族なし控除額35万円控除額27万円未婚のひとり親寡婦扶養する子なしひとり親所得万円控除額35万円控除額27万円現行改正案全てのひとり親家庭に対して公平な税制を実現する観点から、「婚姻歴の有無による不公平」と「男性のひとり親と女性のひとり親の間の不公平」を同時に解消するため、以下の改正を行う。婚姻歴の有無や性別にかかわらず、生計を一にする子(総所得金額等が万円以下)を有する単身者について、同一の「ひとり親控除」(控除額万円)を適用上記以外の寡婦については、引き続き控除額万円を適用することとし、子以外の扶養親族を持つ寡婦についても所得制限(万円以下(年収万円))を設定※所得万円(年収万円)以下の子以外の扶養親族を持つ死別・離別の女性、扶養親族がいない死別女性については現状のままとなる。※ひとり親控除、寡婦控除のいずれについても、住民票の続柄に「夫(未届)」「妻(未届)」の記載がある者は対象外とする。【令和年分以後の所得税について適用】 ファイナンス 2020 Feb.11令和2年度予算特集:1令和2年度税制改正(国税)について 特 集

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