ファイナンス 2020年2月号 Vol.55 No.11
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にも投資にも消極的な大企業に対する研究開発税制等の租税特別措置の不適用措置の見直しを行うこととしている。具体的には、設備投資要件について、企業の国内設備投資額が当期の減価償却費総額の1割超から3割超に引き上げることとしている(資料3)。併せて、大企業に対する賃上げ及び投資の促進に係る税制の設備投資要件について、国内設備投資額が当期の減価償却費総額の9割以上から95%以上に引き上げ、賃上げへのインセンティブを通じた税制効果を発揮しやすくなるようにしている(資料4)。(エ)連結納税制度の見直し連結納税制度は、グループ全体を一つの納税主体と捉えて課税する制度であり、企業が効率的にグループ経営を行えるメリットがあるが、税額の計算が煩雑である等の指摘もあり、制度を選択していない企業グループも多く存在している。企業の機動的な組織再編を促し、企業グループの一体的で効率的な経営を後押しして、企業の国際的な競争力の維持・強化を図るため、制度の簡素化等の見直しを行う。具体的には、現行制度では、企業グループ全体を一つの納税単位としているが、企業グループ内の各法人を納税単位としつつ、損益通算等の調整を行う仕組みである「グループ通算制度」に移行することとしている(資料5)。(2) 経済社会の構造変化を踏まえた税制の 見直し(ア) 未婚のひとり親に対する税制上の措置及び寡婦(寡夫)控除の見直し全てのひとり親家庭に対して公平な税制を実現する観点から、「婚姻歴の有無による不公平」と「男性のひとり親と女性のひとり親の間の不公平」を同時に解消するための見直しを行う(資料6)。具体的には、・未婚のひとり親も含め、婚姻歴や性別にかかわらず、生計を一(いつ)にする子を有する単身者について、同一の「ひとり親控除」を適用する。・また、上記以外の寡婦については、引き続き控除額を27万円適用することとし、子以外の扶養親族を持つ寡婦についても所得制限(所得500万円(年収678万円)以下)を設ける。資料3租税特別措置の適用要件の見直し(案)(特定税額控除規定の不適用措置の見直し)【現行制度の概要】大企業について、次の要件のいずれにも該当しない場合、その企業には研究開発税制その他一定の税額控除(特定税額控除※)の規定を適用しない。(適用期限:令和3年3月日)①その大企業の平均給与等支給額が前事業年度の平均給与等支給額を超えること②その大企業の国内設備投資額が当期の減価償却費の1割の金額を超えること但し、大企業の所得金額が前事業年度の所得金額以下の場合には対象外とする。※特定税額控除:特定の地域、業種、中小企業を対象とする措置等を除く、生産性の向上に関連する租税特別措置(研究開発税制、地域未来投資促進税制、情報連携投資の促進に係る税制)の税額控除【改正案】・上記②の要件について、「その大企業の国内設備投資額が当期の減価償却費の3割の金額を超えること」とする。・不適用措置の対象に、5G導入促進税制【新設】の税額控除を加える。(※改正後の特定税額控除:研究開発税制、地域未来投資促進税制、5G導入促進税制) ファイナンス 2020 Feb.9令和2年度予算特集:1令和2年度税制改正(国税)について 特 集

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