ファイナンス 2020年1月号 Vol.55 No.10
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取引時間取引時間は前場(8:45~11:02)と後場(12:30~15:02)に分かれています。それ以降については夜間取引(ナイト・セッション、15:30~翌5:25)*17が設けられていますが、前場と後場に取引が集中する傾向があります。前場と後場の最後に2分設けられていますが、これは終値を決めるためのプロセスの時間(いわゆる板寄せ*18の時間)です(板についてはBOX 2を参照してください)。取引単位先物の取引単位は1億円であり、1枚と呼ばれます。先物を1枚買い建てるとは、1億円相当の先物を購入することを意味します(この1億円を「想定元本」といいます)。図4には先物の取引高の推移も示されていますが、1985年に国債先物が上場されて以降、平均して1日40,000枚(想定元本ベースで4兆円)程度の売買がなされています。証拠金1億円分の国債を投資する場合は、1億円を用意してくる必要がありますが、先物の場合、将来の予約になるため、1億円分の先物を買い建てるために1億円*17) 国債先物のナイト・セッションができたのは2000年からです。以前はロンドン国際金融先物取引所にも日本の国債先物が上場していたのですが、日本市場におけるナイト・セッションの開始に伴い売買が低下していき、2014年には取引が停止されています。なお、Tse(1999)は東京とロンドンで国債先物を比較して、市場の効率性について分析をしています。*18) 板寄せとは売り注文と買い注文の価格を一度に付け合せて、もっとも多くの売買が成立する値段を決めることです。板寄せのルールは非常にテクニカルであるため、詳細は日本取引所グループのサイトなどを参照ください。*19) SPAN®の詳細についてはJPXのサイト(https://www.jpx.co.jp/jscc/seisan/sakimono/shokokin_seido/span.html)を参照してください。を用意する必要はありません。投資家に求められるものは証拠金の支払いです。証拠金はSPAN®(スパン, Standard Portfolio Analysis of Risk)という計算メカニズムによって算出されますが、基本的には価格変動(ボラティリティ)の予測値によって定められると考えて差し支えありません(価格変動が大きいと予測される場合、多くの証拠金が求められます)*19。しばしば先物についてレバレッジが指摘されますが、たとえば、1枚の先物を買い建てるため、100万円の証拠金が求められた場合、100万円の元手で1億円の投資が可能になっているため、元手に対して、100倍(1億円÷100万円)の投資が可能になっている(レバレッジがかかっている)と解釈できます。もちろん、このレバレッジの度合いは、求められる証拠金の金額に依存するため、その時点の相場に依存しますし、先物の売り手・買い手が差し入れる証拠金を増やすことでレバレッジを低下させることもできます。限月と受渡決済期日先物の期限が満了する月を限げん月げつといいますが、国債先物の受渡決済期日は各限月の20日(休業日の場合は繰り下げ)とされており、取引最終日はその5日前(休業日を除外)までとなっています。前述のとおり、図4 日本国債先物の価格と取引高020015010050300,000250,000200,000150,000100,00050,0000858789919395979901030507091113151719(円)(枚)(出所)Bloomberg取引高(右軸)価格65 ファイナンス 2020 Jan.連載日本経済を 考える

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