ファイナンス 2020年1月号 Vol.55 No.10
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6.おわりに2018年7月に署名された日・EU経済連携協定と日EU戦略的パートナーシップ協定により、日本とEUの関係は、経済的にも政治的にも強化されてきた。日本とEUは、共に先進国として、経済的な課題には共通するものも多い。先述した、貿易摩擦や、中国経済の減速は、我が国経済にとっても影響のある話である。また、本稿は、比較的短期の経済状況を主に見てきたが、より長期的な観点からは、高齢化と人口減少という課題がある。これは、我が国のみならず、EUも直面していく課題である。*11高齢化と人口減少は生産性と経済成長を押し下げることから、構造改革等を通じて成長力を高めることで、こうした人口動態の変化からくる影響を相殺していくことが必要である。日・EU経済連携協定のように、高い水準の多国間自由貿易協定を通じた貿易・投資の自由化は、投資と成長を押し上げる効果を有する。今後は、両協定の持つ潜在的能力を最大限活用していくことが重要になる。*11) 欧州委員会 Political Strategy Centre, EU-Japan:Advanced Economies Shaping the Next Stage of Inclusive Globalization, 2017年7月6日図表3 国際通貨システムのスナップショット706050403020100Foreign exchangereservesInternational debtInternational loansForeign exchangeturnoverGlobal payment currency(SWIFT)(パーセンテージ)US dollarRenminbiEuroYen出典:欧州中央銀行59 ファイナンス 2020 Jan.海外ウォッチャーFOREIGN WATCHER連載海外 ウォッチャー

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