ファイナンス 2020年1月号 Vol.55 No.10
42/88

団は、連休の中、家族との時間を削ってでもすぐに参集し、消防車で出動しました。途中、山火事で場所がわかりにくく迷いそうな道に差し掛かると、その地域に住む子供や高齢者などの家族が、火事はあっちだと消防車を誘導してくれました。現場に到着し、消火活動にあたっていると、今度は自治会の方や消防団OBが駆け付け、長時間に及ぶからと、おにぎりの差し入れなどでバックアップしてくれました。鎮火後、この一連を振り返り改めて思ったのは、地域に生き、地域を守るのは、地域のことを「自分事」と捉える人達である、ということです。飯田市の皆さんにとっては、消防や先述した20地区の「地区基本構想」などはまさに地域を考えることが「自分事」になっている表れであり、地域の結びつきの強さを感じたところでした。一方で全国的に若い世代の都会への流出の有無に関わらず、地域活動への参加が年々減少するなど、自らが住む地域から距離を置く方が増えているようです。これからの人口減少時代、こうした地域のつながりの大切さが改めて見直され、出身地や移住先が、自分にとってのよりどころとしての「地域」になることが、地域の持続・発展、更には日本の力強さにつながるのではとの思いを強くしています。そのため、若い方が都会に出ていくのを食い止めるのと同時に、地域を好きになり「自分事」として捉えられるきっかけづくりも必要であると考えます。(今回詳述しませんが、飯田市が大学・地域・高校と連携して実施している「地域人教育」など)そしてこれらを推進する際には、その地域の住民ひとりひとりの、少しずつの貢献・譲り合い・協調・我慢の心が必要だと考えます。リニア中央新幹線の開通まであと7年。これからも豊かな自然を残しつつ、知的対流が起こり続け、地域とそこに住む人が主役であり続ける魅力溢れる飯田市にぜひ一度お越し下さい。寺田が責任をもってご案内します。37 ファイナンス 2020 Jan.地方創生の現場から【第8回】

元のページ  ../index.html#42

このブックを見る